【あなたのNo.1ほしいもはどれ?(ほしいも銘柄別の味わい)】


ほしいもは、ひたちなか市産が最も有名!この地域の特産物です。
茨城県ひたちなか市周辺で全国シェアの約90%です。
日本一の干し芋産地の中にも様々な地域・地区があります。

まず地域は、北は久慈川から、南は那珂川の間の太平洋岸の地域が高品質の干し芋の産地です。ここがひたちなか市周辺の地域になります。
この地域の干し芋は総じて甘くてやわらかい干し芋ができます。

そして、この地域の中にも多くの地区に細分化されます。
地区によって作付けされている品種や作る干し芋に特色があります。
最終的には、地区の中の畑と干し芋農家を選ぶことで、その干し芋の品質が決まります。

選ばれた干し芋の味はどれも絶品ですが、品種により、仕上げ方(平干し・丸干し・角切り)により味わいが異なってきます。それぞれの特色を示します。

干し芋として一般的なのはなんと言っても「玉豊(たまゆたか)」です。玉豊よりも古くから作られている「いずみ」の干し芋は産地でも定評があります。そして、比較的新しい品種の「玉乙女」、生産量がわずかですが独特の味わいがある「人参芋」、焼き芋用として開発された「紅マサリ」は意外と干し芋適性が優れています。
また、干し芋用ではありませんが、「安納芋」「紫芋」古い品種の「太白芋」、食用品種の王様「紅アズマ」の味わいも記しておきました。


【干し芋銘柄別の味わい】

玉豊(たまゆたか)ほしいも
<玉豊(たまゆたか)干し芋>
茨城産干し芋といえば玉豊と言っても良いほど、ポピュラーで人気がある品種です。
やわらかくて甘みが強く、くせがない甘さは誰にも好かれます。ひとくち食べると止まらない、後を引く美味しさがあります。

チャート表
「玉豊平干し芋」
最もポピュラーな干し芋です。生産量は国産の干し芋の生産量の約80%位にまでなると推測されます。干し芋=玉豊平干し芋といっても過言ではありません。
誰にでも好かれる素直な味わいが特徴です。
甘みは、口に入れた瞬間よりも噛んでいくごとに甘くなり、また、とてもやわらかく噛んでいくと歯にくっつくような粘りがあります。

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「玉豊丸干し芋」
小さな原料芋丸ごとひとつを干し上げた干し芋です。
表面は平干し芋の感触・歯ざわりがあり、内がわの芯に近い部分になるほど水分量が多いためにしっとりとした感触になります。味は、表面は平干し芋のような甘さ、芯に近い方は蜜のような甘さになります。平干し芋よりもサツマイモの風味も味わえます。

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「玉豊角切り芋」
比較的大きい原料芋を使います。蒸かした後1.8~2センチ角に2度スライスをして天日干しにします。
角切り芋は、平干し芋と丸干し芋の中間の味・感触があります。丸干し芋のように表面と芯に近い部分との差はなく、全体的にやわらかくしっとり感もあります。角切り芋の甘さはしっとりとした中にあり、口の中でまとわりつくような強い甘さです。
スティック状なので食べやすいのも特徴です。

いずみほしいも
<いずみ干し芋>
玉豊に比べて収穫量が3割程落ちること、干し芋加工もやりづらいために、ほとんど生産されていない希少な品種です。干し芋農家は、自らのお遣い物として使う位しか作付けしていません。手間はかかりますが、それだけ美味しい品種です。
味わい深い甘さと、やわらかく粘りがある食感が特徴です。

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「いずみ平干し芋」
いずみらしい甘さが特徴です。玉豊とは違う味わいで、玉豊並みの強い甘さですが、いずみならではの味わいがあります。いつまでも口の中に残る甘みです。弾力があるやわらかさも、いずみ平干し芋ならではです。また、粘りが非常に強いのも大きな特徴です。

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「いずみ丸干し芋」
玉豊丸干し芋と同様に、芯に近くなるほどしっとりとしています。強い粘りといずみらしい味わいは平干し芋以上で生キャラメルのような味わいです。玉豊丸干し芋以上に、さつまいもらしい味わいもあります。
平干し芋・角切り芋よりも歯ごたえがあるのも、いずみ丸干し芋ならではの特徴です。

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「いずみ角切り芋」
角切り芋は、大きい原料芋を使います。いずみは生産量が少ないことに加えて、大きく育ちにくいので、いずみ角切り芋にする原料芋はあまり収穫されません。いずみ角切り芋は希少価値がある干し芋です。
玉豊角切り芋と同様に、口の中がべったりと甘くなります。それに加えていずみらしい粘っこさと甘さもあります。玉豊角切り芋のようにスティック状になっているので食べやすさは一緒ですが、よりやわらかく仕上がっています。

玉乙女ほしいも
<玉乙女干し芋>
平成13年に品種登録された比較的新しい品種です。毎年たくさんの品種が開発されますが、玉豊・いずみに次ぐサツマイモはなかなか現れませんでした。久しぶりに干し芋適正に優れた品種として定着しています。
甘みもやわらかさも上々で、玉豊やいずみよりもサツマイモの風味が味わえる干し芋になります。

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「玉乙女平干し芋」
甘さ・やわらかさは玉豊と同じくらいですが、表面は玉豊やいずみのように蜜が浮かず、さらっとしています。甘さに関しては、玉豊のくせのない強い甘さに、ヨーグルトの味と風味を加えたような味わいがあります。

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「玉乙女丸干し芋」
玉乙女らしいオレンジ色が一番感じられるのが玉乙女丸干し芋です。
玉乙女は丸干し芋にすると、玉乙女の風味と、ヨーグルトのような味わいに重厚感がでてきます。
サツマイモ本来の味が詰まっている感じです。

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「玉乙女角切り芋」
玉乙女角切り芋も他の品種の角切り芋同様、平干し芋と丸干し芋の中間の味わいがあります。
玉乙女の良さはサツマイモの味わいが干し芋にしても残っているところです。それは角切り芋になっても同様で、さらっとしていて、ねっとりとした食感が甘みとともに感じることができます。

人参芋ほしいも
<人参芋干し芋>
農家泣かせのサツマイモと言われるのが人参芋です。玉豊や玉乙女の半分くらいしか収穫量がないので、ほとんど作付けされていません。
人参芋というのはカロチンを多く含むサツマイモの通称です。果肉がピンクで、干し芋にすると紅色に仕上がります。タツマの人参芋は、静岡で古くから作られていた品種“兼六”を継承してしています。
人参の味わいがある独特の甘みがあります。

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「人参平干し芋」
玉乙女とは逆に、人参芋は丸干し芋、角切り芋よりも平干し芋が一番鮮やかな色がでています。
味は、平干し芋らしい乾燥されて引き出された強い甘みがあります。ただし、人参芋ですから人参の味わいと風味があります。くせがある味なので、人参芋は好き嫌いが分かれる干し芋です。

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「人参丸干し芋」
人参芋は育ちにくい品種なので、通常は丸干し芋に使うサイズに近い大きさまでを平干し芋にしますから、人参芋丸干し芋は他の丸干し芋よりも小降りな丸干し芋になります。ひとくちサイズの大きさです。
小さいですが、味はまさしく人参芋を主張しています。人参芋平干し芋に比べて、表面に密が浮いた仕上がりです。

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「人参角切り芋」
人参芋は本物の人参の大きさくらいのものが多きいで、角切り芋にできる大きさまで育つ原料芋は稀です。ですから、いずみ角切り芋以上に、量的に希少価値の干し芋です。
味は、強い甘さに加えて人参芋独特の味があります。やわらかさは、人参芋の中では一番やわらかく、人参芋丸干し芋以上にしっとり感もあります。

いずみほしいも
<紅マサリ>
紅マサリは焼き芋用として高品質の触れ込みで、事実その通り、ホクホク感よりもねっとりした感じの甘くて美味しい焼き芋になる品種です。焼き芋用のサツマイモは干し芋に不向きなものが多いのですが、意外にも紅マサリは干し芋にしてもかなり甘く、繊維が少ないのでやわらかくしっとりと仕上がります。

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「紅マサリ平干し芋」
玉豊並みの甘さとやわらかさがあります。素直な甘さで玉豊に似ていますが、餡子のような甘さが味わえます。ねっとりとしたやわらかい食感で、玉豊やいずみや玉乙女とも違う美味しさがあります。

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「紅マサリ丸干し芋」
丸干し芋は丸ごとのサツマイモを使います。また、3週間以上の時間をかけて干し上げるので、サツマイモの旨みが凝縮されます。紅マサリ丸干し芋も同様で、芋餡のかたまりのような干し芋になります。

安納芋ほしいも
<安納芋干し芋>
焼き芋にして密芋とまで呼ばれるサツマイモです。干し芋にしても甘みも味わいもあるのですが、干し芋に加工するのがとても難しいサツマイモです。 安納芋は満遍なく実が同じような成分ではなく、ある程度の塊りのようになってほぐれる実なので、皮をむいていると、少しずつの塊りに分かれてボロボロになってしまいます。焼き芋や蒸かし芋にしてそのまま食べるのには問題がないのですが、平干し芋のような形に留めておくことができないサツマイモです。

チャート表
「安納芋平干し芋」
加工はしづらいですが、干し芋にしても美味しいサツマイモです。甘みもあるし、やわらかく仕上がります。
種子島から種芋を取り寄せたのですが、茨城で育てるのには、気候が少し寒いようで、大きい原料芋には育ちません。身が崩れてしまうことと合わせて小降りの干し芋になります。

紫芋ほしいも
<紫芋干し芋>
アントシアニンを豊富に含むサツマイモとして、色素用の品種として主に加工に使われるサツマイモです。
甘さはあまりないので、干し芋にはあまり向いていません。干し上がりの色は鮮やかな紫色に仕上がります。

チャート表
「紫芋平干し芋」
加工中、サツマイモが触れるものは全て紫になってしまうほどの色素です。干し芋になっても手に触れると紫の色がつきます。
皮はむきやすく、繊維はあまりないのでスライスもスムーズです。干し芋に加工することには問題がないサツマイモですが、甘さはあまりありませんが、やわらかく仕上がります。

太白芋ほしいも
<太白芋干し芋>
伝統ある品種で、昔は干し芋にも加工されていました。
当時は味も良く、多収のサツマイモとして、食料用、加工用、デンプン用として広く用いられていました。
現在の主流品種の玉豊等と比べると甘さや、やわらかさはだいぶ劣ります。隔世を感じます。

チャート表
「太白芋平干し芋」
干し芋適性品種に比べて、干し上がりの水分量が少なく、しっとり感がない固めの仕上がりです。
甘さはソコソコあり、サツマイモが持つ味わいは楽しめます。

紅アズマほしいも
<紅アズマ干し芋>
食用として全国的に最も生産量も多いし、親しまれている品種でもあります。
ホクホクした食感で甘く、焼き芋、テンプラ、蒸かし芋、サツマイモご飯、大学芋等多くの料理で楽しめます。
干し芋にしても味の良さはありますが、干し芋加工中のロスが多く、その点干し芋に向くサツマイモとは言いがたい品種です。

チャート表
「紅アズマ平干し芋」
甘みもあり、やわらかく仕上がります。紅アズマが持つサツマイモの味わいもあります。
加工中のロスと、細長い形状から干し芋にすること自体に難がありますが、結構美味しい平干し芋になります。

金時芋ほしいも
<金時芋干し芋>
金時芋は、徳島県の鳴門金時、石川県の五郎島金時と全国にも名を知られているブランドがあるほどですから、その美味しさには定評があります。
紅アズマ同様にホクホク感と甘さが特徴で、簡単に家庭料理で楽しめます。
干し芋にしての適正は、これも紅アズマ同様で、合っているとは言い難く、干し芋よりも焼き芋等で食べる方が美味しさを味わうことができます。

チャート表
「金時芋角切り芋」
干し芋にすると予想以上に甘みがなく固めに仕上がります。砂地で降水量が少ない方が高品質になる金時芋の特徴からかと推測されます。
サツマイモの風味や味わいは感じられますから、サツマイモとしての美味しさは干し芋にしても残るようです。

ほしキラリほしいも
<ほしキラリ干し芋>
干し芋用として開発された品種だけあり、甘い干し芋に仕上がります。開発当初は、玉豊(たまゆたか)よりも反別収穫量が低いというふれこみながら、茨城の干し芋産地の土壌とは予想以上に相性が良いという嬉しい誤算です。
加工特性は玉豊にはかないませんが、玉豊がシロタ(パカ)の発生で歩留まりを落とすことを考えると、今後作付けが増える可能性は高い品種です。

チャート表
「ほしキラリ平干し芋」
サツマイモらしい味わいがある干し芋です。甘みもあり、サツマイモの風味もしっかりと残っている干し芋に仕上がります。
やわらかで色も綺麗なクリーム色の干し芋に仕上がりことからも、干し芋適正があることがうかがえます。

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「ほしキラリ丸干し芋」
収穫された時の形状が比較的細長い形なので、小さめのサツマイモは、丸干し芋に適した形と大きさになります。
丸干し芋は、仕上がるまでに時間がかかるので、水分量によっては硬く仕上がるものもありますが、ほしきらりは、比較的どれもやわらかくなる傾向があります。
また、ほしきらりは干し芋加工の時に、簾(すだれ)に並べる作業がやづらいので、そこからも丸干し芋により適正な品種です。