ほしいもの作り方 ほしいも編1

ほしいも編1ほしいも編2サツマイモ編1サツマイモ編2番外編があります)

サツマイモに熱を加えて、切って、乾燥したのが“ほしいも”とここでは定義します。番外で熱を加えない生のサツマイモを切ったのも“ほしいも”とします。
けれど一番普及している作り方・・・蒸かして作る方法を紹介します。
サツマイモの栽培方法も合わせてご紹介します。

【美味しく作るポイント】
せっかくなら美味しい干し芋を作りたいですね。そのポイントは3つです。
1、サツマイモのデンプンが糖に熟成してから作る。
2、じっくりと熱を通すと甘みが引き出されます。
3、天日干しで仕上げる。天日に任せる。
(乾燥方法には、風を送ったり、遠赤外線を使ったりして、なかば強制的に乾燥させることもできますが、天日干しでゆっくりと水分が抜けて行く方が美味しくなります)

まずはサツマイモを熟成させよう!



秋に収穫されたサツマイモは、冬将軍の到来まで保管されます。何故でしょうか?
ひとつは、寒くならないとほしいもにできないからですね。
もうひとつは、サツマイモのデンプンがほしいもになって甘くなるのは寒くなって熟成して行くからです。

サツマイモは、貯蔵中に糖化酵素(ジアスターゼ)によってデンプンが糖化され、ブドウ糖や果糖・ショ糖になります。
<ほしいもこぼれ話(1):「サツマイモはしたたか」>

サツマイモはしたたかです。
太陽の光を利用して光合成で体内にデンプンを蓄えます。貯めこんだ栄養はもちろん次世代の苗のための栄養分ですが、もうひとつ、冬を乗り切るためのデンプンとしても蓄えています。
そんな生命力が強いサツマイモにも弱点があります。それは寒さです。氷点下になると冷え腐りしてしまうからです。
(当たり前ですが)植物は動くことができません。サツマイモも同じです。だからどこで収穫されてもその場所で冬を迎えなければなりません。

これは経験則ですが・・・、
サツマイモは冬、気温が下がると冷え腐りを防ぐためにデンプンを糖に変えて身を守るようです。果物が腐る直前が一番甘いのと同じですね。

サツマイモは何があっても子孫を残すために、夏の間したたかにデンプンを蓄えています。

でも寒すぎてはダメです!



サツマイモを氷点下におくと、寒さの為に一晩で腐ってしまいます。だから保管にはとっても気を遣います。ほしいも農家は、保管方法を各自工夫しています。

そして、12月から序々にほしいも加工が始まるのですが、寒さが比較的穏やかな12月初旬と、最も寒い1月~2月にかけてでは保管方法が異なります。
最初は熟成しやすいように、少し寒い場所に保管し、寒さが厳しいときに加工するサツマイモはなるべく寒に当てないように厳重に保管します。芋堀りをして保管庫に運ぶ時からそれを考えてしまって行きます。


建屋の中にしまっています。下に稲わらを敷いたり、スチロールで囲う農家もあります。大寒波が来るとストーブで火を入れるなんてこともします。
また、ビニールハウスの中でなおかつモミガラの中に入れて寒さ対策している農家もあります。

ここまで来たらサツマイモを準備します

サツマイモは掘り起こした時のままで保管されています。もちろん土が付いたまま、時にはつるや葉っぱも枯れながらも付いていたり、太かった根がそのままだったりします。 また芋掘りの時には、干し芋になりそうなサツマイモはとりあえず全部収穫します。特大サイズ、丸干し芋にもならない大きさ、形が悪いもの以外は保管してあります。 だから、干し芋を作る時の第一の作業は、原料のサツマイモの選別です。

<ほしいもこぼれ話(2):「つるがツルッともげると・・・」>

サツマイモの出来具合は天候によって変わります。
ほしいもに加工してみないとその年どんなサツマイモに育ったのかは、正確にはわからないのですが、秋に芋堀りの時に目安になることがあります。

掘り起こしたサツマイモのつるを持って振ってみるのです。
『つるがツルッともげると(サツマイモがつるから簡単に切れてしまったら)』、多分美味し干し芋になるサツマイモです。
水をたっぷり吸っていると予想できるからです。
雨が少ない年は、サツマイモが水を欲しがって根を深くします。また、繊維が太くなります。すると、つるからサツマイモが簡単には離れないのです。

さあサツマイモを選別しながら洗いましょう!

保管中にダメになってしまうサツマイモもありますから、洗う時にそれらは取り除きます。そして、特大・大・中・小・丸干しサイズ、と分けて洗いながら選別します。
<ほしいもこぼれ話(3):「このサツマイモは何にしようかな?」>


サツマイモを大きさごとに分けながら選別するのは、蒸けあがる時間が違うからです。もちろん大きい方が時間がかかります。
それと、どういうスライスにするかを選別しながら決めるためです。
特大は角切り芋に、なんといっても大きい方が角切り芋は見栄えが良いですから。
その次の大きさは大判です。これはタツマオリジナルの干し芋ですから、大判専用に選別・蒸かすのはタツマだけです。
中間サイズは平干し芋です。サツマイモの数も一番多いですね。
小さいのは丸干し芋にするのですが、ここの見極めが大変です。大きすぎると乾かないし、しかも丸干し芋は作ることができる時季が限られます。
そして、これも少数派なのですが、四切りも選びます。
四切りは丸干し芋にすると乾くのに時間がかかる大きさです。けれどある程度の長さが必要です。選ぶコツは平干し芋にしても良いかなと迷う位の太さのサツマイモを選ぶことです。