道具(どうぐ) --- サツマイモの栽培用語です

ほしいもを作る時に必要な七つ道具

蒸篭(せいろ)

サツマイモを蒸かします。鍋で茹でてもOKです。

簾(すだれ)

干し芋を干し上げるために使います。平干し芋でも天日干しで乾くのに1週間かかるために、1日の生産量掛ける7日分の簾を準備しておきます。

つき台

蒸かして皮をむいたサツマイモをスライスする道具です。サツマイモの状態や天候によってスライスする幅が変えられるようになっています。
平干し芋と角切り芋では2倍くらい幅が違うので、それぞれのつき台をそろえています。
静岡では「ペンペン」と呼びます。弦楽器のように横に弾くと「ペンペン」という音が鳴ることから名づけられたのでしょう。

手袋

蒸かしたての熱々のサツマイモの皮をむくので不可欠です。

皮むきは?

竹べらのようなものなら何でもかまいません。干し芋農家は各家お気に入りの道具を使っています。タツマが継承した「兼六」という人参芋を長年作っていた静岡県磐田市の兼子和三郎さんは、手で皮をむいていました。左手はサツマイモを持つので手袋をしていますが、皮をむく右手は素手でむいていました。私の知る限りでは、素手で皮むきをするのは兼子さんだけです。

ボイラー

昔と比べて一番進化=機械化したのが蒸かし方です。家庭用のボイラーの普及は干し芋農家にとってとても有難いことでした。昔は竃(かまど)に薪を炊いてその上の釜の水を蒸気にして蒸かしていました。この差はとても大きいです。
真冬の朝、釜の水は凍り水になっています。薪をくべて釜の水が沸騰するまでに1時間近くかかります。序々に蒸気が上がるので、ボイラーよりもはるかに時間が掛かります。ボイラーならすぐに蒸気がでて蒸かしを始めることができるからです。
しかも薪も予め用意しておかなければなりません。

干し場

道具とはちょっと感覚が違いますが、なくてはならないものです。平干し芋が仕上がるまでは約1週間を目安にしていますから、干し場は一日に干し芋を作る場所の6日~7日分を用意します。だから干し場を見ると、その干し芋農家が作っている生産量が推測できます。
干し芋を蒸かしている加工場からなるべく近い場所に干し場を作ります。干している間に手入れをするので、やっぱり近い方がなにかと便利です。
今では、雨よけのビニールハウスの下で干すのが一般的ですが、干し場が露天の農家もあります。
露天ですと、日が暮れたら簾を重ねて夜露にあたらないようにカバーをかけます。夜明けとともにカバーをはずし、簾を広げます。この作業も重労働なので、ハウス内に干すのが一般的になりました。
ハウス内といっても、雨や風が強い天気予報がでると、簾を重ねたり、物置に非難させたりします。お天気相手の大変なところです。 また、干し芋作りの準備では、この干し場作りが一番時間がかかります。ハウスにビニールをかけるところから始まり、簾の載せる棚をを作ります。土が舞わないように地面には麦を蒔いて芽を出させておきます。その上から稲わらを敷き、網を張ります。最後には鳥が入ってこないように、厳重に防鳥ネットで囲います。


▲ 見出しに戻る