2010/12/01 今シーズンも干し芋作りが始まります

干し芋に携わって約25年ですが、過去に一度あったかという不作です。猛暑と日照りが原因と考えられます。
ひとつの株に4~6個位中ぶりのサツマイモが付いているのが通常なのですが、今年の場合は、中ぶりまで育っているサツマイモが稀です。しかもあっても3個が良いところ、あとは小さい芋が付いているだけ、もしくは育っていても形が悪く、干し芋にできない状態でした。

収穫できた原料芋は、干し芋に加工されるまで保管されます。各農家でそれぞれですが、専用の倉庫、ビニールハウス、黒いシートを二重重ね等、真冬でも冷たくならない工夫をしています。


霜が降りるまでにサツマイモの収穫は終わらせます。 サツマイモを収穫した畑には、輪作の麦が蒔かれます。
有機栽培の畑では農薬が使えません。秋のうちに土作りして除草効果を狙う農法を試験するために、収穫後すぐに、春用のトラクターを整備しました。 畑も春仕様にしました。春に蒔く肥料を有機栽培の畑に入れます。その後輪作の麦も蒔きました。試験の結果は来年の秋のサツマイモの収穫でわかります。
収穫したサツマイモは、寒さで傷まないように保管しますが、主成分のデンプンが糖に変わるためには、ある程度の寒さに当てる必要があります。その按配が大変です。
冬に眠らせる畑の準備が終わると、干し芋作りの準備です。一番手間がかかるのは干し場です。冬の間毎日活躍する場所ですから、念入りに作ります。 干すための棚ができると、ハウスに雨よけのビニールを張ります。後は、干し芋の天敵の鳥が干し場に入らないように防鳥ネットを隙間なく張ります。
干し芋作りの七つ道具を一年ぶりに引っ張だし、整備します。特に簾(すだれ)は枚数が多い(1000枚以上)ので大変です。 作業場を清掃して、ボイラーの点検が終わると準備OKです。後は冬将軍の到来を待つだけです。

こういう年は、いつにも増して丁寧な干し芋作りになります。
少ない原料芋を確実に無駄なく干し芋に仕上げたいからです。
また、どういう品質かも心配なので、「サツマイモのデンプンを糖化させて、しっかりと蒸かす」という干し芋作りの基本が大切な年になりそうです。
干し芋にどれだけ手を入れることができるかで、美味しさにも違いがでます。

例年以上に加工方法、加工する農家の力量が試されるシーズンになるでしょう。