2012/07/01 有機サツマイモ畑の鳥たち

有機栽培をはじめたばかりの頃、草が生えてきたら抜く。イモムシが出たら取る。病気になったらあきらめる。『農薬も化学肥料も使えないのだから仕方がない』という農業をやっていました。
それは間違いではないけれど、あまりにも消極的でした。
雑草も虫もいるのが自然なのだから、その中でサツマイモが、他の動植物よりもちょっと大きな顔をして元気に育つ手助けをすることを考えることにしました。
畑をどれだけ多様な環境にできるかがキーです。

抑草のためにサツマイモの畝(うね)の間に麦を植える栽培です。ヒバリには絶好の隠れ家になります。
畝と麦の間にヒバリの巣がありました。普通に歩いていては巣は見落としてしまいます。また、雛も巣の模様ととても似ていて、一見するといることがわかりません。


近くの林にキジがいて春から秋にかけては、餌をあさりに畑にでてきます。足跡も頻繁に見かけます。セキレイも春になると現れますが、一般の畑が消毒を始めるとめっきり見かけなくなります。餌の虫がいなくなることも原因でしょう。


麦を植えない畑にも、生態系を多様化させるために、緑肥作物(マメ科のクロタラリア)を畑回りに植えます。また、休耕の畑にもイネ科のソルゴを土壌改良として植えます。それらは蜜を出すのでそれを目当てに小動物が集まります。


麦がない畑にもヒバリがいました。サツマイモの畝に雹が穴を開けたその後を、ほじくるようにして巣作りをしました。これもよ~く見ないと巣には気がつきません。孵ったばかりの雛と卵がありましたが、すぐに孵りました。

もう30年以上、毎年同じ農家の庭先に数箇所、ツバメの巣があり、ツバメが来ます。


小さい鳥は虫を、大きい鳥は小動物を、有機の畑に棲んでいる餌を取りに来ます。

ほしいも産地では、畑よりも低い場所が田んぼになっています。
田んぼでも鳥を見かけます。行き来しているようです。

有機栽培の畑は長砂という地区の中にあります。決して広くはない地区の中ですが、自然にまかせていくと、畑ごとに生えいている草が違ってきます。もちろんそれを元に虫の特性も違うし、集まってくる鳥も違います。
自然はこちらの予想なんてはるかに超えた絶妙な中で、できていくことを実感します。