2013/02/01 最も寒い大寒時季、干し芋の旬を迎えています。

ほしいもの簾(すだれ)を洗う洗い桶に分厚い氷が張る早朝のまだ真っ暗な中で干し芋の蒸かしをしています。
一年で最も寒い時季が干し芋の最盛期です。ほしいも農家は原料芋と共に寒さとの闘いです。
ここを乗り切ってできた干し芋こそが今シーズンの最高の干し芋になります。

原料芋をいかに傷むことなく、糖化熟成させながら保管しておくかは、干し芋農家の大きな課題です。当然、保管倉庫や保存性を高めるキュアリング設備があった方が、保管が容易です。しかしそれらがなくても、傷ませることなく、しかも糖化させる技術と経験がある干し芋名人農家がいます。
今シーズンは例年以上に厳しい寒さなので、予報を参考に洗浄・選別する原料芋の日程と予定を決めています。
正憲さん(左)は西向きの雨よけのビニールハウスで原料芋を保管しているので、今シーズン は、スチロールを当てて、シートも一枚から二枚に増やし、また秋に囲う時期も早めにしました。今のところその効果 があり、原料芋は無事です。ほしいも名人忠八さん(右)は、保存性が上がるキュアリングをしないでも原料芋を良い 状態に保ちます。糖化熟成させるのもとても上手です。
仕上がるまでに3週間以上かかる丸干し芋も、大寒前後での生産が盛んです。干し始めは簾に びっしりだったのが、乾いてきて縮んで簾が空いていきます。この後は製品にならないものを選別していきますので、 ますます簾は空きます。干し芋は、元のサツマイモのほんの一部だけが残ります。
平干し芋に対して圧倒的に時間がかかる丸干し芋は専用の干し場を用意しますが、角切り芋は平より数日余分にか かるだけなので、平干し芋の並びに干します。
自社の有機農園で“いずみ種”と同様に高品質に育ったのが“人参芋(兼六種)”です。小ぶりなものが多く、身 崩れしやすいので、加工に手間取りましたが人参らしい甘さみがのった有機人参干し芋に仕上がりました。
毎年1月恒例販売の『薪ふかし干し芋』の信義さんです。新年早々は竈(かまど)の補修をし ていました。(何でも自前です)本職の薪ふかし干し芋の方も順調に仕上がっています。

高品質の干し芋を作るのは、よ~く蒸かすこと、皮むき含めて丁寧に扱うこと、選別を良くしていくこと・・・等、基 本的なことを繰り返すことです。原料芋の保管管理にしても、天候をみてこまめに温度調整や換気をすることが重要です。
それらは誰でもできる地味なことばかりですが、それを連綿と毎日続けることはなかなかできません。それを続ける ことにより知恵が出て工夫が生まれます。けれどそれらを続けると、干し芋加工にとって最高の条件の時には素晴らし い干し芋が仕上がります。