干し芋大判

玉豊・いずみ・玉乙女の3種類の品種で「大判」を作りました。

いずみと玉乙女は、沢畑たかおさんに作ってもらいました。
玉豊はタツマ自社生産しました。
大きくて形が良い原料芋を選ぶことから大判作りがスタートします。
通常の平干し芋と比べると大判の厚さが際立ちます。
大判が仕上がるまでには、普通の平干し芋の約2倍、2週間かかります。本格的な寒さと晴天が続く時季を狙って作りました。
通常の平干し芋を否定するところから、“干し芋大判作り”がはじまりました。

「干し芋は丸干し芋が一番!それ以外は食べられない」という方がいらっしゃいます。丸干し芋の特徴は、さつま芋の味を味わい尽くせるところです。それは、すべてその厚さ(大きさ)が平干し芋とは違うからです。
しかし丸干し芋の欠点は、丸ごとひとつが原料芋なので、干し芋になってもまだ中心部分の品質はわかりません。しかもひとつひとつに違いがあることです。逆に平干し芋の良さは、しっかり乾いているので、干し芋らしい凝縮された甘さがあることです。
丸干しと平干しの両方の良さを実現するのにはどうすれば良いかを追求した結果が、丸干し芋に近い厚さの平干し芋を作ることでした。

そして、試作を繰り返して出来たのが、“干し芋大判”です。沢畑たかおさんと一緒に、どの厚さが良いかいろいろと試し、出来上がりました。
平干し芋でありながら、丸干し芋のようなしっとり感、食べ応えある食感を目指しました。

一番悩んだのが、スライスする厚さです。薄いと普通の平干し芋とあまり変わりません。厚すぎると、なかなか仕上がらないので品質に問題がでてしまいます。
結局、平干し芋の9mmに対して15mmの厚さに落ち着きました。厚さは約1.5倍ですが、乾く日数は2倍以上かかります。
ちなみに、角切り芋は20mm角でスライスしますが、上下左右から乾くので、大判ほど日数はかかりません。

もうひとつ、大判を作る上で問題なのは、厚いがゆえに、干し芋の芯がしっとりしていないと、食感が悪くなるので、蒸かしと仕上げるタイミングが難しいところです。しかし、こちらは、さすがに沢畑たかおさんです。蒸かしも仕上げも絶妙でした。

とはいえ、やはり大判は制約が多い干し芋です。
1、大ぶりで形が良い原料芋をそろえなければならないこと
2、丸干し芋と同じく乾燥に時間がかかるために、真冬にしか加工できないこと
3、原料芋が大きいので蒸かすのにとても時間がかかること・・・などでした。

しかしながらその味は、今までにない美味しさが実現できたと自負しています。
1、食感が良く=肉厚なので弾力があり、食べ応えもあります。中心はしっとりしています。
2、時間をかけて少しずつ乾いていくので、丸干し芋のような熟成された甘さがあります。
3、干し芋らしい強い甘さとさつま芋の風味が両方味わえます。

「干し芋大判」は今までにはない、新しい味わいの干し芋になりました。

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