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ほしいもブログ
乙女の密告
いわずと知れた、
赤染晶子さんの芥川賞受賞作品。
新聞の書評を読んで絶対読みたいと思った作品でした。
外国語大学に通う女子大生達が、
ドイツ語のスピーチコンテストの課題のために暗唱するのが、
『ヘト アハテルハイス(アンネの日記)』という設定。
ゼミの担当のバッハマン教授から、
乙女と呼ばれている女子大生たち。
それぞれのアイデンティティと
アンネの言葉を重ね合わせていて、
軽妙な文章の割りにテーマは重いので、
簡単に読みすすむけれど、難しく感じました。
一番印象に残ったのは、
バッハマン教授が語った
「…ホロコーストが奪ったのは人の命や財産だけではありません。
名前です。…異質な存在は『他者』という名前のもとで、
世界から疎外されたのです。…
『ヘト アハテルハイス』は時を越えてアンネに名前を取り戻しました。
アンネだけではありません。
『ヘト アハテルハイス』はあの名も無き人たち全てに
名前があったことを後世の人たちに思い知らせました。
あの人たちは『他者』ではありません。
かけがえのない『わたし』だったのです。」
現代日本には「ホロコースト」はないけれど、
皆が皆、かけがえのない『わたし』として、
自分自身も他者に対しても生きているのだろうか…。
そんな事を考えてしまいました。
日時: 2010年09月15日 01:24
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