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ふじのくに演劇祭⇔「THE BEE」

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ふじのくに⇔演劇祭の目玉とも言える「THE BEE」を観ました。

とても面白く、とても恐ろしい演劇でした。

前半は圧倒的なスピード感と最小限のセットで
物語の状況を観客に知らしめます。
たった4名の俳優が1人で何役もこなし、
その代わりようも鮮やかでした。
宮沢りえさんが出演するということで、
りえさん目当ての観客も多かったと思いますが、
その演技力には驚きました。
4人がかなりの演技力がなければ成り立たない芝居です。

後半は象徴的なシーンを積み上げていき、
どんな人間も持っている、
悪という感情の行き場を表現します。
被害者であった井戸が自分自身を、
「被害者でいる適正がないことがわかった」
と言いますが、
もし、自分の大切な人が殺されたり、命の危険に晒されたら、
誰でもその相手を殺してやりたいと思うでしょう。
だからその場面での井戸の気持ちは理解できます。

けれど犯人とのやりとりを重ねるうちに、
もはや目的は家族の救済ではなく、ひたすら悪へと向かいます。
それは井戸の「…彼が悪くなればなるほど、それは善いことなのです。」
という台詞が象徴していたように思います。

最初は小さな個人だけの悪が、
民族、国家へと負の連鎖のイメージをエスカレートさせて物語は終わります。

観終わった後はかなり重い気分になりますが、
この短い時間に表現された内容を考えると、
まさに一流のエンターテイメントだと思いました。
それにしても、劇中歌が耳に残って離れません。

【ほし太の日向ぼっこ】

日時: 2012年06月27日 18:23

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