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ジャン×Keitaの隊長退屈男

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『ジャン×Keitaの隊長退屈男』は、
フランスの演出家、ジャン・ランベール=ヴィルド氏がフランス本国で上演された演劇を、
SPACの三島景太さんの一人舞台として、
日本の軍人 磐谷和泉(イワタニ・イズミ)隊長の物語として新たに作られました。

日本平にある、舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」の中、
四方を客席に囲まれた中央に櫓の舞台。

そこで70分間、たった一人の磐谷和泉隊長は誇り高く生きざまを見せてくれます。
観ていて何ともいえない切ない感情に胸が締め付けられますが、
演じている三島さんはどれほどキツかっただろう…。

「俺を揺さぶるのはやめろ」
何度も出てくるセリフです。

人間として尊厳を保ちつつ、
極限まで祖国のために戦ってくれた、
数多くの名もなき軍人さんたちの戦いを形に表すとしたら、
きっとこうなるのだと、けして綺麗ごとではなく感じました。
楕円堂の天井まで高く高く昇っていく魂に手を合わせて、
戦争は、やはり二度と起こしてはいけないと実感する演劇でした。

それにしても、フランスの詩人でもある演出家の書いた脚本を、
日本の物語に昇華させる作業は、
まったく新しい演劇を一から作り上げるのと同じくらい、
もっとそれ以上にどんなにか大変なことだったか、
想像するくらいしかできませんが、
翻訳された平野暁人さんのご苦労はどれほどだったでしょうか…。
SPACの人材の豊かさをまた実感しました。

【ほし太の日向ぼっこ】

日時: 2014年05月06日 05:49