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ほしいもブログ
SPAC演劇「舞台は夢」演出:フレデリック・フィスバック
久しぶりにSPACの演劇「舞台は夢」を観劇しました。
喜劇ということで楽しみにしていたのですが、
ただの喜劇とはいえない、一筋縄ではない、
とてもユニークでかつ奥の深い、入れ子構造の演劇でした。
物語は、厳しい躾に逃げ出した息子クランドールの消息を探して、
プリダマンが、友人のドランドと一緒に
魔術師アルカンドルの住む洞窟を訪ねるところから始まります。
舞台セットはシンプルで、
セットを上部に吊るす装置を幾重にも下ろすことによって洞窟を表します。
アルカンドルは、亡霊たちを使って、
父親の元を逃げ出したクランドールのその後を見せます。
それがまず劇中劇の様相をなし、
観客はプリダマンと、それを見ている私達という二重構造となります。
また舞台上には大きなスクリーンが登場し、
劇中劇を見ているプリダマンの横顔を大写しにします。
演劇なのにまるで映画を見ているかのようです。
床板が次々と組み替えられて場面転換となり、
アルカンドルが見せる劇中劇は続きます。
クランドールは、ほら吹き隊長のマタモールに使える従者となり、
その恋人イザベルとの仲を取り持つうちに、
イザベルと恋人同士になります。
このほら吹き隊長のセリフがとても滑稽で、
この場面は愉快で楽しいものでしたが、
マタモール自身も、一筋縄でいかない人物と感じました。
イザベルには、アドラストという申し分のない貴族の婚約者がいて、
イザベルの父親ジェロントは、アドラストとの結婚を望みます。
クランドールは、イザベルの侍女リーズとも恋仲となり、
やがてリーズの嫉妬により、
イザベルとの逢引中にアドラストと下男たちに囲まれ、
誤ってアドラストを刺殺してしまい囚われの身となります。
スクリーンに映し出される独白は、
リーズ、ジェロント、イザベル、クランドールと次々変わっていきます。
やがてクランドールを助けたい思いに変わったリーズが、
牢番を誘惑するという機転と犠牲によって、クランドールが助け出され、
イザベルとクランドール、リーズと牢番の4人でまんまと逃げ出します。
無事に逃げおおせたクランドールとイザベルは
貴族の様な衣装をまとう生活に変わり、
目をかけられた大公夫人と恋仲になったクランドールに、
始めは嫉妬し、その後クランドールの身を案じるイザベルに
ついに改心したクランドールだが、
大公の差し向けた家来たちに殺されてしまい…。
悲しみにうちひしがれるプリダマンに、
最後アルカンドルは見せたものは…。
ということで、エンディングを迎えて、
初めてこの演劇が、始まる前から始まっていたことに気づきます。
中には二重三重にもしかけがあり、
終わった後まで楽しめる、とても有意義な観劇となりました。
それはひとえにSPACの俳優さんたちの力のこもった名演技によるものです。
それにしてもこの演劇が、
江戸時代の初めごろにパリで初演されていたことを知りとても驚きました。
また、静岡県の中高生鑑賞事業の演目の一つになってる「舞台は夢」。
感受性豊かな青少年がこの演劇を見てどのように感じたのかも興味深いです。