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「満願 」 米澤 穂信 著

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「王とサーカス」に続いて、米澤穂信氏の著作「満願」を読みました。
読んでから知りましたが、
このミステリーがすごい大賞(2014年)や、山本周五郎賞など3冠達成しているんだって。

短編が6編からなり、それぞれが全く違う物語。
細部にもこだわり最後エピソードが収束していく展開は流石です。


「夜警」
交番勤務の巡査がDVの被害者を助けるために殉職。
その上司が部下に対するある違和感から、
事件の真実をあきらかにする話。

「死人宿」
6年前に失踪した恋人を探して訪れた宿屋は、
近くの山から発生するガスで自殺するものが絶えない、
死人宿と言われていた。
そこで拾った遺書の主を探して自殺を阻止しようとするが…。

「柘榴」
美しい母と二人の娘。
どうしようもない男だが魅力的な夫との離婚協議が進む中、
娘二人のとった驚きの行動。

「万灯」
東南アジアで活躍するビジネスマン。
天然ガスのパイプを通すために犯した二つの罪。
完全犯罪となりうるはずが、思わぬ事態となり、
罪が白日の下になってしまうのか…。

「関守」
寂しい峠に立つ古いドライブイン。
その先の峠で起こる交通事故を調べるために立ち寄ったライターが
遭遇した恐ろしい事実。

「満願」
弁護士の自分が学生時代に下宿していた家のおかみさんが殺人を犯す。
人柄をよく知る自分は、裁判中も必死に弁護するが、
本人は夫の死を知ると、控訴もせず刑に服する。
出所後挨拶に来るという電話を貰い、
待つ間に気づいた彼女の本当の目的とは…。

ミステリーなのである程度は仕方ないけれど、
読後、気分的にはあまり良くないものが多かった気がします。
この中で「万灯」が、結末がどうなるのか
読み手に委ねられ一番面白かったです。

【ほし太の日向ぼっこ】

日時: 2016年01月23日 06:22