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ルーシー・リー展 静岡市美術館

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没後20年「ルーシー・リー展」を見に、静岡市美術館に行ってきました。

20世紀を代表するイギリスの陶芸家のルーシー・リーは、
1902年にウィーンのユダヤ人家庭に生まれます。
ウィーン工芸美術学校に学び、高い評価を得ていましたが、
ナチスの台頭により、1938年にイギリスへの亡命を余儀なくされます。

すでに高い評価を受けていたにもかかわらず、
最初は作品が売れず生活に困窮したそうですが、
やがてデザイナーからの依頼を受けて制作したボタンが受け、
ようやく生活を確立したようです。
今回の展示の中には、ウィーン工芸学校時代の作品や、
色とりどりの美しいボタンもあり、
様々な釉薬を研究した様子が伺え、
このボタン制作の経験が、
その後の作品に美しい色合いをもたらしたことがよくわかりました。

また、アトリエで共同制作をしていたハンス・コパーとの共作など、
興味深い作品もあり楽しめました。

ろくろによって形作られる作品のフォルムは繊細で美しく、
象嵌(ぞうがん)や、掻き落としという独自の手法による模様、
優しく、美しい釉薬の色。
作品のすべてが本当に優美で、
そして日本料理を盛り付けても似合いそうな、
実際に使ってみたくなるような器がたくさんありました。

全国を巡回したこの展示会も、
静岡市美術館での5月29日までが最終となっています。
200点ほどもある作品を鑑賞すると、
通常は少し疲れるのですが、
ルーシー・リーの作品鑑賞ではとても癒された感じがして、
観終わった後も温かい気持ちになれました。
作品のほとんどが個人蔵でしたが、
私も一つ欲しいと思えるくらい素敵でした。

【ほし太の日向ぼっこ】

日時: 2016年05月26日 17:39