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知の発見『なぜ』を感じる力 中村桂子著 朝日出版社

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この本は、筆者が高校生に対して行った特別授業と、
講演の内容を加筆編集したものなので、
とても分かりやすい語り口で書かれています。

中村桂子さんは、JT生命誌研究館の館長をされている、
1936年東京生まれの理学博士。
元祖リケジョともいえる方ですが、
御年80歳とは思えない瑞々しい文章です。

生命誌というのは、
人間も含めてのさまざまな生きものたちの「生きている」様子を見つめ、
そこから「どう生きるか」を探す新しい知です(生命誌研究館HPより)

私たちを含め、地球上の生きものたちのDNAには、
すべて38億年前の海に存在したひとつの細胞から、
進化してきた歴史が記憶されています。
だから、蝶の足の先にある細胞と私たちの舌にある細胞は全く同じ細胞を使っていて、
蝶はたまごを生む木を、足の先で味わって見分けているのだそう。
それを知った時には、驚きとともに感動しました。

本の中で紹介されていたのが、
中村さんが考案された、生命誌絵巻というもの。
扇の形をしていて、要の部分は38億年前。
そこから少しづつ進化してきて一番上の部分には、
現在地球上に暮らす多様な生物が、
バクテリアも、きのこも、ひまわりも、人間も、どれも同じように
横に並んで描かれています。
これが生命誌の考え方です。

人間は、ともすれば生物の進化の頂点にいると勘違いしてしまうけれど、
多様な生き物は、この時代、この世界で一緒に、
並んで前を向いて歩いているだけにすぎなくて、
人間がこの地球の王様のような、
奢った考え方はとてもできなくなります。

そして、この本の中で繰り返し語られているキーワードに、
「普通の女の子でいること」がありました。
ご自分の体験の中で、日常の暮らしを大切にし、
その中で感じること、楽しむこと、興味を持つこと、疑問に思うこと、
一つ一つを丁寧に味わうことで、
自然と自分が進む道が決まってくるのだと中村さんは言います。

最終章には、中村さんのお話を真剣に受け止め、
考えた高校生たちからの質問があり、
それに丁寧に答えられている中村さんのお話がまた良かったです。

【ほし太の日向ぼっこ】

日時: 2016年08月11日 06:58