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坂の途中の家 角田 光代 著

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久しぶりの角田光代さんの小説。
今回少し忙しかったので中々進まず、
まるまる2週間かかってしまいました。
その間は本を開くと何とも言えない重苦しい気持ちになってしまいました。

生後8か月のわが子を虐待死させてしまった安藤水穂の裁判員裁判。
その補欠裁判員に選ばれてしまった里沙子は、
2歳の娘をもつ専業主婦。
子育てのために仕事を辞め、
いい母親になろうと必死になればなるほど、
夫や実母の言葉が心に刺さり、
身動き取れない状態まで追い詰められ、
被告人の水穂に自分自身を重ねてしまう里沙子。

法廷では、夫、義母、実母、友人の証言から、
水穂の人となりが浮かび上がってきますが、
一体本当の水穂はどんな人間だったのかがわからなくなります。

ブランド好きな派手な女性で、
子供をただのアクセサリーや人形のように思っていたのか、
実の両親とも疎遠なため、
誰にも頼ることが出来ず、夫や義母の行動や言葉によって、
ギリギリの状態まで自分を追い詰めてしまった、
気の毒な女性なのか。

裁判中、里沙子は義母のところへ娘を預けに行く。
甘やかされ言うことを聞かなくなるわが子に、
つい虐待のような態度をとってしまい、
それを夫に知られてしまう。
説明しようとすればするほどうまくいかなくなってしまう。

子育て中ならごく普通にありそうな
(裁判員に選ばれること自体は普通ではないけれど)、
そんなささいなことでも、一つ気持ちのボタンを掛け違ってしまうと、
こんなに苦しく切なく自分を追い込んでしまうものなのかと、
読んでいて自分まで苦しくなるほど。

角田さんの筆致による描写は本当にリアル。

最後里沙子自身にある気づきがありますが、
そのことも救いがあるのかわからないくらいショッキングでした。

【ほし太の日向ぼっこ】

日時: 2016年09月25日 16:49