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ほしいもブログ
「冬物語」
SPAC(静岡県舞台芸術センター)の新作、
シェイクスピアの「冬物語」を観劇しました。
冬物語はシェイクスピアの最晩年に書かれた作品で、
前半の悲劇から一転、後半では大いなる癒しが訪れます。
演出はもちろん芸術総監督の宮城聡氏。
ムーバーとスピーカーの2人一役によって演じられる、
宮城さんお得意の演出方法ですが、
今までシェイクスピアでは行っていなかったそうで、
今回が初めてとのこと。
観劇前のプレトークで、
シェイクスピアの生きた時代は、
日本では戦国時代から安土桃山、江戸時代にかけての頃と聞きました。
奇しくもその頃に生まれた能や狂言は、
まさにこの二人で一役を演じるものなので、とても興味深く感じました。
そして今回の舞台は奥に向かって高く深く、
中心に向かってぎゅっと凝縮されたような舞台装置。
SPACの舞台はいつも素晴らしいと思っていましたが、
今回も、周囲を覆った布が時に透けたりと効果的に使われていました。
前半は、美しい王妃(ハーマイオニー)と王子(マミリアス)に恵まれた、
シチリア王(リーオンティーズ)が、
親友のボヘミア王(ポリクセネス)と妻との不貞を疑い、
その嫉妬心から、
家臣(カミロー)にポリクセネスを毒殺するよう命令し、
カミローはポリクセネスをボヘミアへ逃がします。
そして、ハーマイオニーを裁判にかけ、
生まれたばかりの王女(パーディータ)を家臣(アンティゴナス)に捨てさせます。
心労で王子のマミリアスが死に、
そのショックでハーマイオニーも死んでしまいます。
息子と妻、親友、忠実な家臣のすべてを失い、
初めてリーオンティーズは自分の過ちに気がつきます。
極力表情を押さえたムーバーの演技ですが、
じっとしていても内面の葛藤がとても鮮明に感じられました。
パーディータは、アンティゴナスが連れてボヘミアにたどり着きます。
擬人化した時が現れ、とてもコミカルな演技で重苦しい舞台を一転させます。
そこから16年の歳月が流れます。
ボヘミアで猟師に拾われ美しく成長したパーディータと、
ボヘミア王子(フローリツェル)は恋仲となり、
ポリクセネスは二人の仲を認めず、
カミローは、シチリアに行ってリーオンティーズ王の下をたずねるよう助言します。
二人を追ってポリクセネスとカミロー、猟師の親子もシチリアにやってきて、
パーディータが16年前に捨てさせた王女だとわかります。
そしてポリクセネスとも和解。
一向は次女のポーリーナが大切にしているという、
亡き王妃ハーマイオニーの像を見に行きます。
そして奇跡が起こり…。
流れる音楽も前半の重苦しい雰囲気と一変、
後半は明るく楽しい舞台となり、
最後は感動のフィナーレとなります。
シェイクスピア自身が、人生最後にたどり着いた境地が伺えるような、
とても感動的な舞台でした。