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遠縁の女 青山文平著 文芸春秋社

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私にとって初青山文平作品「遠縁の女」を読みました。
最初に本を手にとった時、
思っていたのとまったく違う装丁にちょっとびっくりしました。

表題作「遠縁の女」の他「機織る武家」と「沼尻新田」の中編の物語3編が収められています。
江戸時代後期、それなりの家格のある武家でありながら、
今までどおりの暮らしが維持できなくなってきたことから派生していく、
それぞれの物語。
ごく普通の暮らしをしている人々。
その日々の心情が細やかに表現されているのが印象的でした。

機織る武家は、
武士とは名ばかりの貧しい家に後妻として嫁いだ縫が、
気位だけは昔のままの姑と無能な夫との、
美濃紙の端にへばりつくような居場処で何とか生活を支えるため、
得意だった機織りを極めていく物語。
縫が一家の支えになった時、姑と夫もまた変化していく様子が淡々と描かれます。

困難を極める新田開発に奔走し、
やがて芝山一族の中興の祖とあがめられるようになる柴山和己。
それはひとえに、ただ一度、クロマツ林で言葉をかわしただけの「すみ」のために、
クロマツ林を守るためだったという「沼尻新田」

剣術が形骸化した時代に、
剣の武者修行を父から薦められた片倉隆明。
5年後ふるさとに帰ると待っていたのは親友の死とその妻だった遠縁の信江。
信江から語られた事実を聞いて隆明がとった行動とは…。
サスペンスタッチで進む「遠縁の女」。

どの物語も素晴らしく、当時の人々の息遣いが感じられるようでした。
中でも一番好きだったのは「沼尻新田」。
ファンタジーのようでもあるけど、底にあるのは紛れもない武士の生き様でした。

青山文平氏の他の作品もまた詠みたいです。


【ほし太の日向ぼっこ】

日時: 2017年07月14日 13:35