ふじのくに⇔せかい演劇祭2024 『楢山節考』
かちかち山の台所を観劇の後、
楕円堂で「楢山節考」を観劇しました。
原作は1956年に発表された深沢七郎氏の小説で、
その後何度も映画や舞台にもなっているので、
姥捨て伝説が元というお話はよく知っていましたが、
今回の楢山節考はとても強烈な体験となりました。
楕円堂の舞台は地下にあり照明がなければ漆黒の闇です。
舞台装置はなくほのかな明かりの下、
3人の俳優の肉体表現と発せられる言葉だけで、
そこは山奥の寒村となりました。
七十になったら行く「楢山まいり」を楽しみに準備するおりんは、
自分を捨てて他を生かすという究極の利他の心。
息子の辰平との親子の情や、辰平と後妻の玉やんとの夫婦の情も、
痛いほど伝わってきます。
圧巻だったのは楢山まいりの場面でした。
辰平の背に負ぶさるおりんは
言葉を発せず手の動きと表情だけでその崇高な精神を表現し、
辰平役の俳優が朗読する情景は怖いほどリアルでした。
チェロの生演奏がさらに場を効果的に浮かび上がらせるという
さすがの演出でした。
上演台本と演出は瀬戸山美咲さん。
鈴木忠志さんのSCOTが制作という納得のレベルの高さを感じました。
【ほし太の日向ぼっこ】