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映画 PERFECT DAYS 監督 ビム・ベンダース
ずっと「観たい!」と思っていたパーフェクト・デイズを
ようやく鑑賞しました。ロングランに感謝です。
数年前、渋谷の街(公園)に、
世界的な建築家やアーティストがデザインしたトイレが設置された
というニュースを耳にしたことを思い出しました。
この映画はそのPR動画として始まったようです。
トイレ清掃員の平山(役所広司)は古いアパートの一室で、
毎朝、神社前を掃き掃除する老婦人のほうきの音で目覚める。
布団をたたみ、歯を磨き、ひげの手入れをし、植木に水をやり、
玄関前の棚の上にある鍵、携帯電話、小銭を持って家を出る。
空を見上げ、自動販売機でお気に入りの缶コーヒーを買い、
仕事用の清掃道具がぎっしり積まれた車に乗り込む。
お気に入りのカセットテープで70年代の音楽を聴きながら、
いつもの首都高速を走って清掃先へと向かう。
着いたのは前述のお洒落で最先端のトイレ。
そこを自作の掃除用具を使い、淡々と丁寧にきれいにしていく。
お昼は神社の境内でサンドイッチを食べ牛乳を飲む。
大きな木を見上げ木漏れ日をフィルムカメラに収める。
そこでたまに見つけた芽吹いたばかりの木の苗を丁寧に移植し育てている。
毎日会うOLや不思議な動きのホームレスの老人(田中泯)と、
寡黙な平山は言葉を交わすことはないが、
心は何となく通じ合っている。
仕事が終わると自転車で銭湯へ行き一番風呂に入ってから、
行きつけの居酒屋で食事と晩酌を済ませ、
夜は文庫本を読みながら眠りにつく。
毎日繰り返されるルーティン。
ある日玄関前の棚の上に並べられていた時計を手に取り、
自転車で向かったのはカメラ屋と古本屋とコインランドリー。
最小限の動きでそれが休日だとわかるのはとてもうまいと思いました。
その後は行きつけのスナックへ、
歌の上手なママ(石川さゆり)とのやり取りに
少しばかり幸せを感じているようにも思えました。
繰り返される日常にもたまに波風が立ちます。
それは同僚とその彼女とのやりとりや、
家出してきた姪のニコと過ごす数日、
ニコを迎えに来た妹との再会などで
平山の生きてきた人生を垣間見させ想像させます。
平山の日常は私自身の日常とも重なるところがありました。
先日体調をくずしてしまい日常生活に支障があったとき、
淡々と繰り返すことのできる日々がどれほど幸せなことかと身にしみたからです。
そんな繰り返される日々をベンダース監督が
パーフェクト・デイズと呼んだ意味もだからこそよくわかります。