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太陽の棘 原田マハ著

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大好きな原田マハさんの新作『太陽の棘』。
6月の誕生日に娘たちにプレゼントしてもらったのに中々読めず、
ようやっと読み終えました。

プロローグは、サンフランシスコの精神科のオフィス。
飾られた絵を見ながら老精神科医は、自信の若き日の体験を思い出します。

結婚を直前に控えた医学部卒業直後の、精神科医エド・ウィルソンは、
太平洋戦争終結後の沖縄に、アメリカ軍兵士の医師として赴任することになります。

沖縄は最後まで抵抗を続けた激戦の地であり、町はみな焦土と化し、
そこに残るアメリカ人兵士たちもまたある意味戦争の犠牲者でした。
心を病み、時に犯罪行為にまで走る兵士たちを救うための激務に耐える唯一の楽しみは、
父にねだって赴任地に送ってもらった真っ赤なポンティアックで、
同僚の友人たちと荒廃の地をドライブすること。

ある日、偶然迷い込んだ場所は「ニシムイ美術村」という芸術家が集まり暮らす村。
そこには、まるでゴッホやゴーギャンを思わせる独自の画風の画家たちが、
アメリカ人兵士が本国に持って帰るための風景画を描いて生計を立て、
互いに助け合いながら創作活動にうちこんでいました。

その若手画家たちとの交流をエドの視線を通して、史実をもとに丁寧に描かれています。

美術に造形が深い原田マハさんだからこその表現で、
彼らの描いている絵の世界がまるで目に見えるように感じられました。

そして沖縄の太陽の輝きと強さ、沖縄人の芸術に対する才能と強さ。
そんな私の知らなかった戦争がまた新たな目線で知ることが出来ました。

悲劇もありましたが、芸術は、国境も、国籍も、人種も飛び越えて人と人をつないでくれる。
そんなことも感じました。

【ほし太の日向ぼっこ】

日時: 2014年11月18日 18:38