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怖い絵 3 中野 京子著 朝日出版社

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先日読んだシリーズの最終巻。

今回はさらにパワーアップした中野京子さんの解説で、
絵は歴史に深くかかわっていることがよくわかりました。

中野さんのあとがきより
“絵は…その時代特有の常識や嗜好のもと、地域ごとの文化の影響を色濃く受け、
注文主の思惑や画家の力量に従って生まれています。”

だからこそ中野さんの解説を読んで、
その時代の眼でみて、初めてその絵の怖さが伝わってきます。

たとえば1749年に描かれたゲインズバラの『アンドリューズ夫妻』という絵は、
一見のどかなイングランドの田園風景の中にいる新婚の貴族夫妻(地方領主)の肖像。
豊かな農地や牧草地は描かれているものの、そこに働く農民たちは1人もいない。

その背景には、産業革命と同じく農業革命が起こり、
「囲い込み(エンクロージャー)」という政策により、
富める者はますます富み、
貧しきものたち(農業従事者)の使い捨てのような過酷な現実があること。
土地を奪われた農民たちが都市へ向かい、そこでも貧困にあえぐ…。
そんな負の連鎖が透けて見えてきます。

ホガースの『ジン横丁』という絵は、
18世紀なかばのロンドン・イーストエンド、
貧しさゆえにジンに頼り、酔いによってこの世から一時逃げ出すかのような、
まるで生き地獄の有様が描かれています。
エンクロージャによって都市に押し出された貧しき者たちが陥る地獄…。
けれどこれも遠い昔の世界の出来事とはけして言えないように、
現代社会でもそんな構図が簡単に想像できて、よけいに怖さを実感しました。

知らないということは罪深いことだと感じました。

【ほし太の日向ぼっこ】

日時: 2013年06月28日 08:05