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SPAC演劇「お艶の恋」演出:石神夏希

石神夏希さんの演出によるSPACの演劇「お艶の恋」を観劇しました。
アフタートークでお話がありましたがこの「お艶の恋」は、
鈴木忠志さん、宮城聡さん、平田オリザさん、中島諒人さんという
日本を代表する演出家が
次世代の日本の演劇人と共同で作品を創造するために設立した、
「桃太郎の会」の活動によるものということでした。
原作は谷崎潤一郎の「お艶殺し」
谷崎潤一郎といえば「細雪」や「春琴抄」を映画で観たことがありますが、
女性の描き方や情景描写が美しく耽美派と呼ばれている作家です。
お艶殺しは知りませんでしたがきっとそういう演劇なんだろうな、
と予想していました。

はじまると舞台は熱帯雨林の奥深くを流れる川。
舞台中央の船の上で役者たちが眠っています。
それは、日本から地球の反対側まで百年かけて旅をしてきた
江戸の町で生きていた魂たちです。
オウムの声で、目を覚ましたお艶や新介の魂たちは、
どうやら旅をしながら百年前の出来事「お艶の恋」を演じ続けてきたようです。
また今日もお艶の恋が動き出します。

蓄音機から日本の昔の音楽が流れますが、
役者はラテン系のカラフルな衣装をまとい、
進行役はなぜかオウムというぶっとんだ設定にまずはとても驚かされます。
そして次々繰り返される殺人シーンですが、
陰惨な感じは受けず、歌舞伎や舞踊を観ているような感覚でした。
原作をどう料理するかは演出家にかかっている訳ですが、
今回の演劇も石神夏希という方の腕の見せ所を感じた体験でした。

【ほし太の日向ぼっこ】

日時: 2023年12月03日 14:56