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ふじのくに⇔せかい演劇祭 2018 「夢と錯乱」

93歳となるクロード・レジ「最後の作品になる」という本作から
私の2018年ふじのくに⇔せかい演劇祭が始まりました。

4年前この演劇祭で初めてレジさんの「室内」を観劇したときの驚きは今でも忘れられません。

レジからの”別れの挨拶”とされたこの「夢と錯乱」は、
27歳で夭折したオーストラリアの詩人 ゲオルク・トラークルの亡くなる年に書かれたものだという。
私はゲオルク・トラークルという詩人のことは全く知りませんでしたが、
観劇前に戴いた演出ノートを読み、
第一次大戦での悲惨な体験、妹との近親相姦、薬物中毒による自死という文字と、
その自伝的ともいえる作品という内容に、
私の理解の範疇を超える胸の中のザワザワとともに入場の列に並んでいました。

舞台芸術公園にある楕円堂は、
自然の木々に囲まれた日本平の山中にある木造の劇場です。
待合から劇場までは階段をさらに下り地下深くに飲み込まれていく感覚になります。

中に入ると、薄明かりの照明が徐々に消えやがて漆黒の闇となる。
それがいつ始まったのかわからないうち、
舞台奥の方に最初は幽かに何かが動く気配がし、
やがて少しづつ形を変え徐々にこちらに近づいてくる。

暗いドームの中からやってきたその人の体はなんて大きいんだろう。
そう思った時、突然それが始まりました。

いくつかの象徴的な言葉があり、苦悩にもだえ、何かを求めるような動き。
語られる言葉以上に、
作家の苦悩を、愛を、渇望を、絶望を一身に背負っているようなヤン・ブードーさんの演技は、
観劇後の私自身の精神にもかなりの重さをもって印象付けられました。

遠い時代、場所に生まれて死んでいったこの詩人の言葉を表すのに、
楕円堂以上にふさわしい場所はないのではないかと思うくらいの深い演劇体験となりました。

【ほし太の日向ぼっこ】

日時: 2018年04月29日 10:09