ふじのくに⇔せかい演劇祭 2019 『コンゴ裁判』
演劇祭の演目に映画があるのは珍しいと思ったらこの作品も立派な演劇作品でした。
プレトークでSPAC文芸部の横山さんが、
アヴィニョン演劇祭にSPACが招聘された時、
現地の小さな映画館で見たこの映像作品に一番衝撃を受け、
今回の招聘につながったとお話されました。
2013年の演劇祭でみた『ヘイト・ラジオ』のミロ・ラウ氏による演出。
ヘイト・ラジオは、ルワンダでの虐殺をラジオで扇動する様子を再現し、
とても衝撃を受けたことを今でも覚えています。
コンゴでは、レアメタルが豊富に産出される地区を巡り、
虐殺や民族間の紛争が現在でも続いており
ほとんどが真相を究明されることも、加害者が裁かれることもないのだそう。
そして報道もされないため、私自身も全く知りませんでした。
このレアメタルは、スマートフォンやゲーム機などに使用されるため、
世界経済が複雑に絡み、日本もその例外ではありません。
地元にお金が落ちず、大企業が搾取していく様子、
起きたばかりの虐殺の場面が映し出され、ミロ・ラウ氏は現地で模擬法廷を開きます。
被害者だけでなく、政治家や、加害者側の弁護士、法曹関係者、人権団体、市民に、
「演劇作品に参加してほしい」と呼びかけます。
集まった顔ぶれを見て、よくぞここまで集められたものだと驚きました。
そして順番に告白と証言を行い最後には判決が下されます。
法的な拘束力はないけれど、これが大きなうねりとなり、
実際に法廷を設置する動きが生まれていることが最後に語られ、
演劇に、このような大きな力と可能性があることがわかり、
ただただ感動と衝撃を受けました。
こういう素晴らしい映像作品は、ぜひ日本中で上演してほしいと切に願います。
【ほし太の日向ぼっこ】