不時着する流星たち 小川洋子 角川書店
もう2年ほど前に娘が持って来てくれた本です。
小川洋子さんは大好きなのですが、
ずっと枕元に積んだままでした。
さて読み始めると、
これがまた不思議とページめくるとすぐに眠気が襲ってきます。
(私が本を読むのがいつも寝る前なので)
読み始めてから読み終わるまでも時間がかかりました。
この本は、短編10話からなるもので、
それぞれ実在した人物たちにインスパイヤされて小川洋子さんが描く、
とても不思議な世界観の物語でした。
知っていた人も知らない人も、
物語の終わりにそのモチーフとなった人物紹介があります。
読み終わって初めて「ああこんな人物をモチーフにしたんだな」とわかり、
読み終えたばかりの物語がさらに深まります。
グレン・グールドがモチーフとなった「測量」というお話では、
祖父の耳の中に住みついた「口笛虫」が、
一流の音楽家にもオーケストラにも出せない豊かな音を、
脳みそいっぱいに響かせるのだとあり、そんな虫なら飼ってみたいものです。
中には可愛がっていた文鳥が次第に疎ましくなってしまうという、
少し残酷で後味が悪いお話もありましたが、
全体的には、落ち着いた静かなトーンの不思議な物語の世界は、
眠りに落ちる前に読むには最適だったと思います。
やっぱり小川洋子さんは好きです。
【ほし太の日向ぼっこ】