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『推し、燃ゆ 』 宇佐美りん 著 河出書房新社

芥川賞受賞作品で作者は現役女子大生。
しかも静岡県出身と言えば読まないわけには行きません。
けれど予想していた内容とはかなり違っていて、
少なからずショックを受けました。
主人公の内面や感覚の描写が細かく描かれ、
読んでいて重かったです。

私が「推し」という言葉を初めて知ったのは、
AKB48が一世を風靡した時だったかと思います。
娘との会話の中にも普通に出てきますし、
自分からこの言葉を使うことは無いにしても、
意味は理解しているつもりでした。
でもこの作品を読んで、
『推す』という行為はただ自分の好きなアイドルを応援する
ということではなく、
『推す』=自分の肉体や精神を動かすこと(生きること)であり、
『推し』という存在だけが自分にとっての背骨だという主人公の姿を通して、
今の若者世代の生きづらさや居場所のなさを少しだけ垣間見た気がします。
背骨を失ったとき人はどうなるのか。
読後はしばらく重い気持ちを引きずってしまいました。

【ほし太の日向ぼっこ】

日時: 2021年08月06日 15:50