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ほしいもブログ
やどりぎ座 劇団渡辺「授業」
先週SPACで観劇したウジェーヌ・イヨネスコ作「授業」ですが、
28日、同じ脚本を使った劇団渡辺版「授業」をやどりぎ座で鑑賞しました。
やどりぎ座はこけら落としで「不思議の国のアリス」全15公演中ですが(29日が最終日)、
26、27、28日の3日間だけ「授業」の上演がありました。
劇団渡辺では十年ほど前からこの「授業」を演目としていたそうで、
今回SPACで授業をやることを知り、
両方を見比べてみてもらうのも面白いのではと上演を決めたそうです。
SPAC版の授業がとてもよかったので、こちらも自ずと期待が高まりました。
最初からまったく違う始まり方にまずは驚きました。
老教授は着流し姿、女生徒とメイドのマリーは洋服ですが三人とも足袋を履いていて、
木やりのような音楽(歌?)とともに、
狂言のような動きのパントマイムで最後のシーンを繰り返し行い、
この物語が繰り返されていることを示唆します。
SPAC版は老教授を3人の役者さんが演じていて、
それは老教授の人格の多面性を表していると思ったのですが、
劇団渡辺版は、老教授(大石宣弘さん)、女生徒(蔭山ひさ枝さん)、
とメイドのマリーの三人のお芝居でした。
とにかく老教授役のセリフがよく覚えられるなぁというくらい、
後半はほぼ一人でしゃべりっぱなしで、
だんだんと狂気に陥ってくる様子がとてもリアルでした。
女生徒の表情が豊かで(終演後、ご本人が顔芸と仰っていました)、
ワクワクした高揚感や天真爛漫さ、抑圧された感情や、
歯が痛くなってからの悲痛な様子がとても伝わってきました。
メイドのマリーが途中で忠告に来るのは同じですが、
SPAC版の醒めた印象とは違い、
この先どうなるかはもはや防ぎようがないことも全てわかっていて、
老教授の庇護者的な立場に感じました。
同じ演劇を2回みることはよくしますが、
同じ脚本を使った違う演出の演劇をみたのは初めてなので面白い体験でした。
劇団渡辺版「授業」もとても見応えがあってよかったです。