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ほしいもブログ
第十六回菊姫会 その2
講演のあとは勉強会です。
菊姫製造部 井出 俊幸さんによる
「吉川の山田錦と菊姫、そして菊姫の米焼酎」についてのお話。
菊姫は兵庫県吉川に村米(契約栽培米)を持っています。
兵庫県以外には門外不出だった山田錦を、
柳社長が15年かけ苦労して手に入れたお話しを昨年お聞きしました。
現在でも、兵庫県以外では菊姫だけなのだそうです。
そして近年、山田錦の需要が増え兵庫県以外でも生産する府県が多くなりました。
井出さんは、平成27年~30年度産の12府県23点のサンプルを手に入れて、
菊姫入荷の山田錦と比較したそうです。
一見すると非常に見た目がいいと思えた関東産の山田錦でも、
千粒重や祖タンパクなど吉川産との違いがみられ、
アルカリ崩壊もよくない(麹でとけにくい)といった性質がわかり、
山田錦としてはどうなのかなぁ…という疑問がわいたそうです。
うすうすわかっていましたが、
山田錦ならなんでもいいというわけではないことがデーターからもはっきりしました。
また、菊姫の村米の範囲は吉川の半径3kmぐらいの8地区ということで、
兵庫県の中でも特A地区です。
その根拠も、川の流域間での陽イオン交換容量や、
気温日較差などのデーターで示されていました。
そして、生産者別の試験醸造を実施したり、
千粒重や祖タンパクを調べています。
それでわかったことは、
粒の張りが良いほど、透明感のあるふくらみが出る。
祖タンパクがある程度以下になると、キレイすぎてしまう(旨み、ふくらみが弱い)
祖タンパクがある程度以上になると、後口に嫌味が出てくる。
ということで、祖タンパクは標準的な範囲で、粒張りが大きいもの、
且つ、収量が平均以上のモデルを推奨しているということでした。
山田錦を手に入れたことだけに満足せず、
最高の原料米としてさらに良いものを、
生産者と一緒に作っていく菊姫の姿勢がとてもよくわかりました。
また、たびたび吉川を訪れている井出さんですが、
地元にある山田錦の郷という施設で地元のお酒も色々と試飲したそうです。
そこで感じたことは「お米が一緒でもお酒は様々」だということ。
どなたの言葉だったか忘れてしまいましたが、途中で語られた、
「原料の差は技術では埋められない」が、
「原料が一緒なら、技術の差が活きる」
という言葉がとても印象に残りました。
山田錦の話の後は、菊姫の米焼酎について。
菊姫では、H12BYから焼酎の製造を開始。
井出さんは九州や沖縄に出向き色々勉強してきました。
その時様々な種酒を持つのが良いと教えられたそうで、
今回、4タイプのきき酒が用意されていました。
A:加賀の露
B:食中酒向けのイメージで、しろものをブレンドしたもの
C:常圧のイメージを強調して、樽貯蔵をブレンドしたもの
D:加州剣
普段焼酎はまったくと言っていいほど飲んでいないので
ストレートの焼酎はとても強い口当たりです。
正直に言うと、味の違いはあまりよくわかりませんでしたが、
それでもお米の旨みや香り、甘みをそれぞれ感じました。