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『小倉遊亀と院展の画家たち展』 静岡市美術館

静岡市美術館で4月6日から5月26日まで開催中の、
『小倉遊亀と院展の画家たち展』に行ってきました。

この展覧会、実は行きたいと思っていたのですが中々時間がなくて、
会期も今週いっぱいで終了なので、ほぼ行くのはあきらめていました。
ところが昨日の夜、友人から偶然招待券を戴いたので
「これはもう行くしかない!」と、午前中自転車を飛ばして行ってきました。

岡倉天心によって明治31年(1898)に設立された日本美術院は、
天心没後の大正3年(1914)に再興され、
美術院の展覧会(院展)は一貫して新たな日本画の創造の場となりました。

横山大観、菱田春草、安田靫彦、今村紫紅、小林古径、速水御舟、
といった錚々たる画家たちの作品とともに、
遊亀さんの作品が25点展示され、とても見ごたえがありました。
後で知りましたが、前期と後期で展示替えがあり、
2回見に行くべきでした(残念です)

でも私が一番見たかったパンフレットにもなっている「姉妹」は、
後期の展示だったので、一度だけなら後期に行ってよかったです。
大きな作品で、背景にはプラチナ箔と胡粉の白が使われていて、
余白が絶妙なバランスでしたし、
姉妹の表情で性格の違いも感じられ、なんとも引き込まれました。

同じく後期の展示作品「盛花」は、
盛りの椿が描かれ、とても華やかで力強さが感じられる絵でしたが、
2000年に105歳で亡くなった遊亀さんの絶筆となった作品で、
死後家族によって院展に出品されたそうです。
亡くなる直前まで絵への情熱が失われず、このような作品が描けるなんて、
肉体は老いても、精神はけして老いることなどなかったのですね。

会場のところどころに書かれた言葉からは、
遊亀さんの絵に対する気持ちが伝わってきます。

「いいなァと心底から思ったときには向こうも私も区別がつきません。
向こうが我か、我が向こうか、わからない。
自分が椿になり、椿が私になり、です。」など、

人の心をつかんで止まない作品を描かれた画家さんたちの心境が
伺い知れた気がしました。

今回の展覧会は、ほとんどが滋賀県立近代美術館の所蔵作品によるもので、
前期展示の作品の中にも見てみたかったものがたくさんあり、
いつか滋賀県立近代美術館を訪れたいと、とても思いました。
余韻のある素敵な展覧会でした。

【ほし太の日向ぼっこ】

日時: 2019年05月23日 15:36