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SPAC演劇「授業」

ウジェーヌ・イヨネスコ作、西 悟志さん演出の「授業」を観劇しました。
この演劇は「不条理劇」というジャンルです。
不条理劇とは、
ストーリーが論理的に進行しない。
登場人物の会話がかみ合わない。
物語の展開が追えない。
意味不明なものが出てくる。
という演劇のことだそうで「みもふたもない物語」というのが私のイメージでした。

だからきっとこの「授業」は、見終わった後の気分はよくないんだろうなぁ。
という気持ちで鑑賞しました。

ところが、これが面白くて楽しくて、
老教授が3人いるのにもぶったまげましたが、
同じセリフを3人が繰り返し、それぞれの言い回しや雰囲気が違っていることで
多重人格者を思わせましたし、
女生徒役の布施さんはとっても可愛くて、はつらつとしていて、
途中から、力関係が逆転して、また拮抗して、と新しい布施さんの魅力がとても光っていました。
4人が絡んだ時の動きも計算されていてまるでダンスのようでした。
衣装も洒落ていました。

最後は思いもかけない展開になりましたが、
それでも見終わった後の気分はすっきりでした。
それは、原作にあるのかどうかはわかりませんが、
最後、倒れた椅子を起こしながら女生徒が叫ぶシーンで救済があったから。

そしてまた最初にもどる、みたいな無限ループのようなお芝居でした。
でもよく考えたら、普段の生活の中では不条理なほうが当たり前のような気もします。
こんな不条理劇なら何度でも観たいです。

アフタートークで、SPACの芸術総監督宮城さんが、
演出家には大まかに二通りのタイプがいるのだと仰っていました。
生々しい救済を描くのが得意な人と、
人でないもの神話的なものでの救済を描くのが得意な人とがいて、
今回の西さんは前者、宮城さんは後者なのだそう。
よくわかりました。

【ほし太の日向ぼっこ】

日時: 2018年10月23日 07:29