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ほしいもブログ
夢見る帝国図書館 中島京子 著 文藝春秋
帝国図書館とは東京上野にできた日本で最初の国立図書館です。
明治政府の要人たちが、一刻も早く近代国家になるために必要なものとして、
福沢諭吉の助言から『ビブリオテーキ』なるものを作ろうと奮闘した歴史は、
常に金欠とともにありました。
そんな先達の努力によって守られて来た、
「帝国図書館が主人公の小説を書いてほしい」
と偶然出会った60代の女性喜和子さんから頼まれた作家志望の私。
ちょっと風変わりで魅力的な喜和子さんの歩んできた人生と、
帝国図書館の歴史が交互に描かれていきます。
誰かが、『図書館の歴史は過去からゆっくりと現在に向かい、
喜和子さんの歴史は現在から過去へとゆっくりと遡上していく。
二つの物語がどこかで出会い、握手する』と書いていましたが、
うまい表現です。
特に帝国図書館が恋をした樋口一葉の話や、
図書館に通った文豪たちのエピソードは興味深かったです。
喜和子さんの物語は段々とミステリー要素も加わって、
最初から最後まで楽しくワクワクしながら読めました。
最後の一言「心理が我らを自由にするところ」
には胸をつかれました。
普通に図書館で本を借りて読める幸せをかみしめました。
日時: 2019年11月07日 17:21