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ほしいもブログ
SPAC演劇『ペール・ギュントたち~わくらばの夢~
SPAC秋→春のシーズン第二弾、
インドネシアの演出家ユディ・タジュディン氏の演出による、
『ペール・ギュントたち~わくらばの夢~』を観劇しました。
思い起こせばSPACの演劇にハマったきっかけが、
宮城さんの演出による『ペール・ギュント』でした。
SPACのペール・ギュントは、
舞台上に巨大な斜めのすごろくのようなセットでした。
シンプルでいて、随所に仕掛けがあり意外なところから役者さんが出てくるなど、
とても面白い演出でした。
ペール役の武石さんをはじめ個性的な役者さんたちが、
これでもかと演劇の面白さを見せてくれた
今でも大好きな演目の一つです。
ストーリーはペールという男の一生。
元恋人を結婚式から略奪してすぐに捨てたり、
トロルの娘と恋に落ちたり、
純朴な娘ソールヴェイを小屋に置き去りにしてそのまま何年も帰らなかったり、
山師のような仕事で設けたりと、なんだかひどい男のようですが、
武石さんの魅力なのか、
ソールヴェイが一途にペールを待っていて、
最後に彼女の子守歌を聴きながら生を終えるペールの姿に感動を覚えました。
今回はこのペール・ギュントを下敷きにして、
インドネシア、スリランカ、ベトナム、日本のアーティストたちが集結し、
旅をしながら共同作業で練り上げられた作品だということでした。
まずは、ペール・ギュントたちというタイトル通り、
ペール役だと思える人が複数いて、その都度変わります。
登場する女性たち(ソールヴェイやアニトラ)の独白があったり、
伝統や文化を象徴するもの、先住民や支配者たちが出てきたり、
頭の上に長い杖をのせ不安定なバランスを取りながらの動きなど、
一つ一つに意味があり、色々なシーンで考えさせられました。
アフタートークでのお話を聞いて、
この演劇は、ペール・ギュントを下敷きにしながら、
現代を生きる私たちそれぞれの物語を紡いだものと感じました。
それは演じる役者さんの人生、国の情勢、貧困や差別、
ジェンダーなどの問題を描き出していたのだと思いました。