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ほしいもブログ
みおつくし料理帳 特別巻 花だより 高田 郁 著
時代小説の中で断トツに好きな高田郁さんの「みおつくし料理帳」。
完結した後でドラマ化もされ、
もう新作は読めないだろうと思っていたら、
特別巻が2018年9月に出ていたなんてちっとも知りませんでした。
この物語は主人公の澪と、関わり深い人物たちのその後が、
春夏秋冬に分かれ描かれています。
第一章:花だよりは、
澪が江戸で料理人として働いていたつるやの店主種市と、
懐かしいつるやの人びと、戯作者清右衛門、
坂村堂たちとのやり取りがとても楽しめました。
第二章:涼風ありは、
かつての澪の思い人である小野寺数馬とその妻の話。
風変りで感情表現の苦手な乙緒の心の動きや姑とのエピソードなど、
ほのぼのとした気分で読めました。
第三章:秋燕は、
大阪の大店の娘として生まれた野江が、
大洪水で孤児となり、
騙されて江戸の吉原に売られてあさひ太夫となった経緯、
今は亡き又次との出会いなど、
本編では書かれなかったことが丁寧に描かれていて、
今更ながら胸が熱くなりました。
第四章:月の船を漕ぐは、澪と夫の源斉の物語。
大阪に移り「みおつくし」という料理屋を一人で切り盛りしていた澪ですが、
ある日大阪に蔓延した疫病のため大家が代替わりしてしまい、
店を追い出されてしまうことに。
夫の源斉は病人を救えない無力感と、
疲労に倒れ食が喉を通らなくなってしまう。
相手のことを思って作る料理の大切さを感じさせてくれた物語でした。
それぞれの物語にはまた印象深い料理が添えられ、
いつもながら高田さんの描く世界は素敵だなぁと思いました。
日時: 2020年02月25日 15:13