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『たまごを持つように』 まはら三桃 著 講談社

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高校に入学した時、弓道部に憧れて見学に行くと、
「今年は女子は入れない」と断られた思い出があります。

それ以来、弓道には思い入れが残っていて、
この本を手にとったのもそんな気持ちからです。

この物語は「弓道が真ん中にある女子中学生の話です」
と作者があとがきで書いていましたが、
それなので、弓道のことを何もしらない私が読んでもわかりやすく、
弓を射る場面も、しんとした空気感が伝わってきて、
長い間の夢だった射の疑似体験ができた気がしました。

文中、「弓道は、立禅(りつぜん)」という言葉が出てきます。
座禅は、座って心を静かにして悟りを開き、弓道は立って行う修業。
ということで、心の在り方がもっとも重要であり、
常に自分自身と向き合うものなのだと感じました。

射位に立ち、弓を起こす。
ゆっくりと的に向かい弦を張る。
矢を射た後の残身。
すべてが、静寂の中、その緊張感が心地よかったです。

作者は、弓道経験者ではなく
ドイツ人哲学者のオイゲン・ヘリゲル氏の『弓と禅』という本を読んだことがきっかけで
この本を書きたいと思ったそうです。
私もいつかその本を読んでみたくなりました。

とても清々しい読後感です。

【きらくな寝床】

日時: 2014年06月09日 07:46