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ふじの国⇔せかい演劇祭「イナバとナバホの白兎」

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今回の演劇祭で一番楽しみにしていた、
SPACの新作「イナバとナバホの白兎」を観劇しました。

駿府城公園で野外上演された「マハーバーラタ」に続いて、
2作目の街中野外上演です。

この演劇は、フランスのケ・ブランリー美術館より、
開館10周年記念のため、SPACに依頼された新作です。
というのも、この美術館の開館こけら落とし公演として、
マハーバーラタが上演され、大好評を博したからでした。
上演されるのが「クロード・レヴィ=ストロース劇場」という名前なのだそう。

そこで、芸術総監督の宮城さんが、
レヴィ=ストロースが最晩年に書いた『月の裏側』という書物から、
イナバの白兎と北米先住民の神話とのつながりについて書かれた箇所を発見。
この演劇の構想を得たのだということです。

物語は3部構成となっていて、
1部はイナバ編、2部はナバホ編としてそれぞれの神話を紹介し、
そして3部では、元となった大きな神話を、
SPAC俳優陣全員の共同制作という形で創り上げたというのです。

SPACらしい、スピーカーとムーバーが別れたスタイル。
また、今回特に目を引いたのが様々な仮面でした。
それにより神話の世界にすんなりと入りやすく感じました。
また、セリフは演じる俳優自らが考えたそうで、
より力強く、魂の入った言葉の数々が時に単独で、時に重なり合い、
奥行き深く響いてきました。

世界中に伝わった神話。
その元となったのはきっとこんな物語だったのだろう。
そう思わせる物語の最後。
感動的なセリフとともに、舞台上は一気に祝祭の場となって終演。

素晴らしい演劇でした。
きっとフランスの観客にも大きな感動を与えることと思います。

【ほし太の日向ぼっこ】

日時: 2016年05月04日 16:04