いつも彼らはどこかに 小川 洋子 著

ここの所、何故かミステリー小説ばかり読んでいたので、
久しぶりに小川洋子さんの本を読み始めたときすぐに、
「ああやっぱり小川さんはいいなぁ」と感じました。
このせかいのどこかにひっそりと存在する動物をモチーフに、
その動物とともに暮らすささやかな人間の思いを描く短編小説。
ディープインパクトが凱旋門賞へ出馬する際、
ストレス軽減のために一緒に同行させた帯同馬。
小さな村のシンボルになっている看板のうさぎと、
その看板の管理をする青年。
動物園の中の小さな店で働く女性と、
美しいティアーズラインを持つチーターの話。
小さなガラス瓶の中に亡き人の縁の品を入れ、
その人の代わりに旅をする女性。
など、どのお話も少しだけ非現実的でありながら、
まぎれもなく日常をささやかに暮らす人の思いを丁寧に描いています。
一緒にその人の目線で物事を見て、感じて
ささやかな旅に出ているような気持ちになりました。


























