シネマ歌舞伎 野田版 鼠小僧
シネマ歌舞伎シリーズの記念すべき第一作目、
野田秀樹さん作・演出、十八代目中村勘三郎さん主演の
「鼠小僧」が今月のシネマ歌舞伎で上演され鑑賞してきました。
以前に菊之助さん主演の「鼠小僧」を観ましたが、
全く違うストーリだったことにちょっと驚きました。
幕開きは正月興行で賑わう江戸の芝居小屋。
人気の鼠小僧の芝居がかかっています。
大がかりなセットが回転しながら舞台転換し
大屋根の上で見得が決まって大喝采(勘三郎さんの二役)。
その見物客の中で棺桶屋の三太がずる賢く金稼ぎに励んでいます。
金にしか興味のない三太は人に施しをすると死んでしまうと豪語し、
実の兄が死んでも棺桶が売れると喜ぶ始末。
遺産も相続できると喜んでいたら善人で評判の與吉が相続することに。
どうしても遺産を相続したい三太は、
棺桶に隠れて義兄の遺産を盗む計画を立てますが・・・。
三太に負けず劣らず強欲な義姉と姪、
貞淑な後家と評判のお高、
名奉行大岡忠相や兄の幽霊まで出てきて怒涛の展開となります。
三太は自分のせいで命を落とした老人の孫の三太と出会い、
心が次第に変化していきます。
善人、貞淑な妻、名奉行の裏の顔も暴かれ、
自分の命と義理人情の間で追い詰められていきます。
最後は三太との約束を果たすために・・・。
勘三郎さん、勘九郎さん、七之助さんはもちろん、
のちに中村屋の部屋子となる鶴松さんが、
まだ小学生の時に本名で出演していて堂々たる演技を披露しています。
三津五郎さん、芝翫さん、獅童さん、弥十郎さん等、
出演者がとにかく豪華、セットも豪華、衣装も豪華で、
セリフはギャグが効いてユーモアたっぷり。
勘三郎さんは汗だくになりながら渾身の演技で
三太の生きざまをみせてくれました。
笑いあり涙ありの楽しい舞台でした。
2003年8月歌舞伎座での上演。