SPAC演劇『伊豆の踊子』 演出・多田淳之介

川端康成原作のSPAC版『伊豆の踊子』を鑑賞しました。
何度か映画化もされていて、
ストーリー自体はなんとなくは知っていたものの、
ちゃんと本を読んだことも映画を観たこともなかったので、
どんな演劇なのか楽しみにしていましたが、
予想の斜め上をいく抱腹絶倒の楽しい演劇でした。
小説「伊豆の踊子」は東京帝国大学の学生だった20歳の川端が、
初めて伊豆を旅した経験をもとに書かれているそうです。
孤児根性で歪んだ心の鬱屈を抱えていた主人公(私)が、
旅先の伊豆で伊豆大島から来た芸人一行と道連れとなります。
純粋な踊子の細やかな親切や、旅芸人たちの家庭的な愛情に触れ、
私の心は次第に浄化されていきます。
風光明媚な伊豆の自然を映像で流し、
一緒に旅をしているような感覚はまさに観光演劇という名の通り。
一方、旅芸人の貧しさや差別的に扱う地元民の目線など、
厳しい現実も見せます。
また、私の視点で描かれるだけでなく、
登場人物それぞれの感情も丁寧に描かれていました。
何よりも、芸人一座の舞台がとにかくぶっ飛んだ面白さで、
ライブに参加しているような楽しさでした。
エピローグでは現代の伊豆を観光する人々が登場します。
そこにはかつての私や踊子だったと思える若者がいて、
「ああ未来で彼らは結ばれたのね」と思えて感慨深かったです。







































