モレル谷の奇蹟 ディーノ・ブッツァーティ画・文 中山エツコ訳

まるで絵本のような表紙とサイズですっかり騙されてしまいました。
イタリアの有名な作家 ディーノ・ブッツァーティの遺作となった画文集。
ブッツァーティのことはまるきり知りませんでしたが、
パラパラとめくってみた絵に惹かれ読んでみることに…。
まるで日記のように、ブッツァーティ自身が、
父親の遺品のなかにノートを見つけたことから物語が始まり、
聖女リータの祠を探し出し、番人から聞いた話と奉納画を収めたのだと。
聖女リータは実在した人物、モレル谷はフィクションという、
虚実が混ざり合って摩訶不思議な世界を創り上げていました。
イタリアでは、信仰によって救われた信者が、
奉納画をささげることはよくある話だそうですが、
出てくる絵がいかにも奉納画らしいもの、
現代のポップアートのようなイラストだったり、
宇宙人やアリ、吸血鬼なども出てきて突っ込みどころはまんさいで、
とても楽しく読みました。
巻末にこの本が出来あがったいきさつも書かれていて、
ブッツァーティという人についてもっと知りたくなりました。
この本がきっかけで、聖女リータの祠が本当に作られたそうで、
ブッツァーティの人気のほどが伺えます。



























