
松井久子さんは、映画「ユキエ」「折り梅」「レオニー」をつくった監督です。
この本は一貫して自律について書いています。
松井氏は言います。
自立は単なる「状態」で、
そこに「精神性」や「理性」といった意味を加えたものが「自律」といい、
経済力を持ち、自力で生活ができる状態が「自立」で、
自立を果たした後に「自律」しなければ、
社会の中で、自分の存在と価値観を、周囲に説得を持って伝えることはできない。と、
そしてイサム・ノグチの母レオニーは、
他者に依存せず、貧しくても精神の気高さを失わず、
自らの信念を決して曲げなかったからこそ、
息子に大きな影響を与えることができたのだと述べています。
レオニーは私自身3年前にみました。そしてその時の感想を読み返すと、
『イサム ノグチは数多くの作品を残したけれど、
そのイサムは、レオニーが創りあげた最大の作品なのだと思います。
松井 久子監督の撮る映像と音楽はとても美しくて、
彼女の人生を浮き彫りにして見せてくれました。』
と書いてありました。
レオニーは有名な芸術家ではないけれど、
息子を立派に育て上げたこと、
それこそが素晴らしいことなのだと、映画をみて感じたことを思い出しました。
この本を読むと、様々な困難にぶつかっても最後まで諦めず、
信念をもって映画を作り上げた松井氏の生き方を知ることが出来ます。
自律した人間にしか、他者に影響も感動も与えることはできません。
私たちは必ず誰かの子供であり、
また誰かに影響を与える可能性が高い立場にいます。
だからこそ、みな自律した人間になる努力が必要だと強く感じました。
著書の最後に、日々を生きているうえで守っていることとして、
他人と自分を比較しない。
社会の常識や、既成概念にとらわれない。
自己嫌悪に陥りそうになったら、ダメな自分を許してやる。
そして、時を待つ。
とありました。全く同感です。
【ほし太の日向ぼっこ】