劇団spac「病は気から」
モリエール原作の「病は気から」が、
SPACの新作として上演されました。
演出はノゾエ征爾さん。
なんとSPAC総監督の宮城聡さんも出演されるという、
めったに観られないシチュエーション。
セットは、日本の映画館発祥の地である浅草の閉館した映画館の椅子だそう。
内容は、抱腹絶倒の喜劇ということで、
「もうこれは絶対に観たい!!」と最終日のチケットをとりました。
モリエールは、350年前に自らをモデルにこの物語を書き、
主役を演じ、公演終了後に亡くなったのだと…。
物語は、自分が病気だと思いこんでいる男が、
医者に言われるままに浣腸と薬付けの毎日で、
それで健康を保っていると信じ込んでいる。
愛する娘も医者と結婚させようと考え、
妻の裏切りを知り、
最後には自分が医者となる。
病の呪縛から解き放たれたとたん、
男に死が訪れるという、なんとも皮肉な結末。
SPACの「病は気から」は、
観客席と向かい合わせに、舞台にも客席があり、
ここがベッドルームやトイレや様々な場所に変身する。
観ているものに、これは自分たちの物語でもあると言わんばかりに物語が進みます。
350年前のモリエールの時代と現代、
観ていて何も違和感ないということは、
人間の本質自体があまり変わっていないということでしょう。
確かにユーモアやギャグが随所に盛り込まれ、
喜劇の様相を呈していたけれど、
物語の核心は重く、けして笑えないものだと観ていて感じました。
演劇って本当に深いです。