「楽園のカンバス」 原田 マハ
久しぶりに一気に読んでしまうほど面白い本に出会いました。
2002年、東京上野の森美術館で開催された「MOMA展」
私の一番のお目当てはゴッホの「星月夜」でした。
その絵の前で、
ゴッホの強烈なエネルギーに圧倒された記憶が今でも鮮明にあります。
その中で、全くノーチェックだったのがアンリ・ルソーという画家。
初めてルソーの絵を観たのがそのMOMA展でした。
「眠るジプシー女」という絵の前に立った時、
ゴッホとはまた違う、
不思議な別の世界へ誘われる魅力を感じて、
ルソーはその時から私の大好きな画家となりました。
その「ルソーを巡るミステリー」とあれば、
ワクワクしないわけがありません。
最近よく耳にするようになった「キュレーター」という職業や、
名画にまつわるさまざまなエピソードもとても興味深かったです。
事実を交え、用意周到に描かれた物語にぐんぐん引き込まれて、
まるで自分がルソーと同じ時代に生きて、
同じ空気を吸ったような、
読み終わった後、
ちょっぴり悲しくてそして温かい気持ちになれる最上級の本でした。