
若くして余命を告げられた主人公 雫は、
クリスマスの日、
瀬戸内の島にあるホスピス「ライオンの家」にやってきます。
雫は幼いころ事故で両親を亡くし、叔父に男手一つで育てられます。
本当の親子のように過ごしてきた二人ですが、
ある日父親から結婚したい人がいると告げられ、
一人で暮らすことを選択します。
その後病にかかり、医師からは余命を宣告されてしまいます。
病気のことを父にも告げず一人でこの島に来た雫。
自分の気持ちに正直に過ごすと決めた島での日々は、
とても穏やかで満ち足りています。
私も「もし自分が余命宣告されたら、こんな風に過ごせたらいいな」
と思いながら読み進めました。
ライオンの家では、毎週日曜日に「おやつの時間」があります。
入居者が、生きている間にもう一度食べたいと思う、
思い出のおやつをリクエストできるのです。
豆花やカヌレ、アップルパイ、牡丹餅…。
それぞれの思いのこもったエピソードが紹介され、ふるまわれるおやつ。
「私なら何をリクエストするんだろう」
そして雫がリクエストしたおやつは…。
「ライオンのおやつ」は、
小川糸さんのお母さんに癌が見つかり、
「死ぬのが怖い」と怯えるお母さんのために、
少しでも死ぬのが怖くなくなるような物語を書きたいと執筆したのだそう。
確かに、こんなに穏やかに死を迎えられたらどんなにか幸せでしょう。
三年前に父を看取りましたが、
父は最後の日々をどんな気持ちで過ごしたのだろうと、
この物語を読みながらその頃のことをまた思い出しました。
【ほし太の日向ぼっこ】