ふじのくに⇔せかい演劇祭 2017 「アンティゴネ」
SPACの新作、ギリシャ悲劇の「アンティゴネ」を鑑賞しました。
この作品は毎年フランスで開催されるアビニョン演劇祭に今年招聘され、
「法王庁中庭」という舞台でオープニングを任されるという前代未聞の作品です。
本番に先駆けてお披露目される、
駿府公演野外特設劇場での上演を楽しみにしていました。
舞台は思ったよりもコンパクトで、
驚いたのは表面には水が張られ、
その中にまるで枯山水のような配置の大きな石が据えられていました。
(その上が重要な舞台となります)
宇宙飛行士のコスチュームにも、
骸骨の骨のようにも見えるメタリック風の衣装に薄絹をまとい、
ギリシャ悲劇をとことん日本的テイストで見せてくれる演出に、
この物語の普遍性を感じました。
美加理さん演じるアンティゴネの圧倒的な存在感が、
その場を時空を超えた空間に変えます。
副題に「時を越える送り火」とあったように、
この物語の主題は「弔い」。
3月に父を亡くした私自身にも深く響くものがあり、
最後のシーンでは思わず涙が滲んできました。
この作品がフランスのお客様にどのように響くのか、
今から凱旋報告が楽しみです。