
友人に誘われて、スーパー歌舞伎Ⅱ『オグリ』を観劇してきました。
今年、シネマ歌舞伎で『ワンピース』と『ヤマトタケル』をみましたが、
ナマでスーパー歌舞伎を見たかったので、念願かなって嬉しかったです。
オグリは、ヤマトタケルと同じく、
三代目市川猿之助氏が哲学者の梅原猛氏に依頼して作った歌舞伎です。
第一幕、
豪華な嫁入り行列に、突如小栗党と名乗る若者6名が襲い掛かり、
花嫁を連れ去ります。
小栗党とは、3年前に常陸の国の判官として今日の都からやってきた、
オグリこと藤原正清(中村隼人)のもとに集まり、
義兄弟の契りを交わした6名の若者たちで、
それぞれが今の世の中で生きづらい事情を抱えています。
彼らは、オグリのもと何ものにも縛られず、やりたいことをやり、
欲しいものを手に入れて、一度きりの人生を喜びにあふれたものにしようと生きていました。
一方、奪われた花嫁の照手姫(坂東新悟)は家のための望まぬ結婚だったことから、
小栗党の隠れ家においてほしいと頼み、
オグリたちと一緒に暮らすうち、次第にオグリに惹かれていきます。
それを快く思わない照手の父と結婚相手の毒矢に打たれ、
オグリと義兄弟たちは、二人の婚礼の晩に毒矢によって全員命を奪われます。
照手は川に沈められることになり、あわや命を落とす寸前に、
船頭たちに救われそのまま川に流されていきます。
プロジェクションマッピングを駆使した豪華できらびやかな演出と、
舞い散る花びらのオープニングはとても美しかったけれど、
二人が幸せになったと思ったとたんの悲劇に心が痛みました。
第二幕、
照手は、塩焼きの翁に助けられるがその妻の嫉妬にあい、
人買いに売られ、美濃の国の女郎屋に売られてしまう。
身を売ること以外は何でもすると主人に頼み、けなげに下働きをしている照手。
一方、地獄にやってきたオグリたちは閻魔大王たちと対決。
地獄も極楽も信じないというオグリと、
閻魔はこの世で本当に強いのは、
生きることに苦しみ悩み、その意味をどこまでも考え続ける者であり、
お前には苦しみと悩みが足りないと諭す。
オグリたちとの闘いの末、自ら地獄を焼き払う閻魔。
客席までかかる水しぶきの演出には度肝を抜かれました。
第三幕、
小栗判官の墓を訪れていた遊行上人(猿之助)は、
閻魔大王から、オグリを行くべき道に導いてほしいと頼まれる。
オグリは、閻魔によって身体が腐って朽ちていく餓鬼病となり、
それを見た遊行上人が、オグリを乗せた土車を一度引けば百人の僧を、
二度引けば千人の僧を供養したのと同じ功徳が得られるとして、
人々に車を引かせる。
照手もこの車を引くがオグリとは気づかず、
オグリは照手に自分の身を明かすことはできない。
照手と別れてからも、数々の悲劇に見舞われながらも、
自分を救ってくれた人々のために祈ると誓うオグリ。
熊野の湯の峰にたどり着き、
湯に飛び込むオグリを薬師如来が抱きとめたとき、
オグリの身体が元に戻り、罪が許されます。
遊行上人とオグリの二人同時の宙乗りはワクワクしました。
そして最後、美濃の国の国司としてやってきたオグリと照手が再会し、
それぞれ罰を受けてこの世に戻っていた六人の義兄弟たちも現れ、
皆で歓喜の舞を踊りフィナーレへ。
休憩中に買っておいた『スーパーリストバンド』をはめて、
会場が一体となって歓喜の踊りを踊って盛り上がりました。
一緒に行った友人は私よりも歌舞伎をみていますが、
この歌舞伎が一番良かったと話してくれました。
スーパー歌舞伎は、古典歌舞伎の演技、演出と、
現代性のある主題、現代語によるセリフでわかりやすいうえに、
最新の技術を使った舞台装置によって見ごたえのある舞台となっていました。

観劇のツアーなのでお昼はお弁当が付きました。
特製オグリ弁当は、会場で1500円で販売されていましたが、
すぐに売り切れとなっていました。

これがスーパーリストバンド(1000円)
猿之助さんと隼人さんのサイン入り。
本当に最初から最後まで見ごたえのある舞台で楽しかったです。
「来年もスーパー歌舞伎があったら絶対に行こうね」と友人と約束しました。
【ほし太の日向ぼっこ】