SPAC『イナバとナバホの白兎』 演出:宮城聡
2016年、フランスの国立ケ・ブランリー美術館から委嘱され、
開館10周年を記念して作られた作品「イナバとナバホの白兎」が、
今年再びフランスで、6月19日~23日まで上演されることになり、
それに先駆けて、3年ぶりに静岡芸術劇場でも上演されました。
劇場は3階席まで埋まり、多くの観客が訪れていました。
2016年は駿府公園での野外上演でしたが、
その時とは演出も舞台装置も新たになり、
さらに洗練された印象を受けました。
1部は、日本の古事記に出てくるイナバの白兎を、
2部は、北米のナバホ族の神話を、
3部は、その元となるまだ見ぬ神話をSPAが創作して上演。
という形で、20世紀の思想家・文化人類学者である
クロード・レヴィ=ストロースの仮説に対する
宮城さんとSPACからの答えとなっています。
相変わらずSPACの俳優さんの動きは素晴らしいし、
お得意の、スピーカーとムーバーとに分かれた演出も、
今回は女性パートと男性パートがあるのも新鮮です。
衣装も舞台装置も、またたくさん出てくる仮面の造詣も面白く、
何よりも、臨場感溢れる俳優さんたちによる生演奏が場を盛り立ててと、
SPACの魅力が全て詰まった演目だと再確認しました。
公演後に行われた、文化人類学者青木保さんと宮城さん、
文芸部の横山さんによるアフタートークも、
時間が足りなくなるほどで、
興味深くて面白く、とても楽しかったです。
フランスでも大喝采を浴びること間違いないでしょう。