SPAC演劇『寿歌』 演出 宮城聡

昨年のせかい演劇祭では、
日本平にある舞台芸術公園の野外劇場で『寿歌』を観劇しました。
舞台上を埋め尽くされたゴミと、無限ループのような舞台セット。
鳴り響くミサイルの音。
核戦争によってほぼ壊滅状態の日本を旅していながら、
いつでも明るいゲサクとキョウコの姿に衝撃を受けたことをよく覚えていて、
「もう一度観たい」と強く思いました。
台風一過の青空の広がる10月13日、
今年は静岡芸術劇場という室内での上演で観劇。
核戦争とは程遠いけれど、
前日の雨風の後の寿歌はシチュエーションとしてはとてもぴったりでした。
宮城さんの演出ノートには、
『寿歌』が「救済はいずこにあるのか」をめぐる戯曲であること。
そしてそれはどこにあるのかといえば、
何が正しくて何が間違いなのか、をはっきりさせることではなく、
「世界に大きな迷惑をかけないで生きるためには、
わかりやすいモノサシを捨てて、
ずっと宙ぶらりんの状態でいつづけなければならない」のだと書かれています。
近頃のSNSなどで語られる内容は、
あまりにも白黒はっきりつけすぎていて、
時々生きづらさを感じてしまうことがあります。
この寿歌の中のゲサクとキョウコのように、
あっけらかんと、あるがままを受け入れて、
自分たちの芸を披露しながら旅を続けていく。
そうやって生きていくことが人生なんだろうなぁ。
ひととき一緒に旅をするヤスオ(神)は、
無力だけれど、とても温かく優しい。
そんな存在を身近に感じていれば、
大変な状況も乗り越えていけるんだと思います。






















