ふじのくに⇔せかい演劇祭 2018 「リチャード3世」
フランスの演出家ジャン・ランベール=ヴィルド氏が演出、主演される二人芝居、
「リチャード3世 ~道化たちの醒めない悪夢~」を観劇しました。
舞台芸術公演内にあるBOXシアターは、稽古場棟にある小さな舞台。
主に一人もしくは二人芝居や人形を使った演劇などが上演されます。
場内に入ると、舞台には見世物小屋のようなセットがありました。
とてもカラフルで可愛らしいデザインで、
自ずとこれから始まる演劇への期待値が上がりました。
目に入るのは中心にある大きな鏡。
登場したパジャマを着た道化師が語り始め、
リチャード三世の心のうちを吐露します。
見世物小屋が場面ごとに形を変え、
もう一人の道化師役の女性が様々な人物を演じ分け、
リチャード三世の人物像が次第に明らかになっていきます。
ずいぶん前に「三代目リチャード」というお芝居を観たことがあり、
リチャード三世という人は、
ずいぶんと極悪非道な人だったんだという漠然としたイメージがありました。
今回のお芝居でも、
政敵を次々と殺し甘言で女性をだますという確かにひどい男でしたが、
道化師が演じるリチャード三世は、また悲劇の人でもあったと感じました。
最新のテクノロジーが駆使され、
俳優二人の確かな演技力の上に成り立つ、
おとぎの国のような残酷な物語。
何とも不思議な演劇体験でした。
戦場で亡くなった最後の英国王ということで、
戦場シーンで使用される鎧は、
フランスの伝統的焼き物のリモージュで作られていて、
小道具一つとっても観るべき価値のある素敵な演劇でした。