
歌舞伎の世界を映画のスクリーンで体験できる月イチ歌舞伎。
6月は坂東玉三郎主演の2演目でした。
まずは『日高川入相花王 2005年(平成17年)10月 歌舞伎座にて上演』
人形浄瑠璃を歌舞伎舞踊化した「道成寺物」の作品ということで、
清姫役の玉三郎と、船頭役の市川九團次が浄瑠璃人形で、
人形遣い役として尾上菊之助が玉三郎の後ろにいるという面白い趣向でした。
安珍を追って日高川にやってきた清姫。
船頭に舟を渡してくれと頼むが夜も遅いので渡してくれない、
次第に、清姫が嫉妬と怒りに狂いだし最後は大蛇となります。
よくヒップホップなどでロボットのような動きをするダンスがありますが、
それを日本舞踊で表現するという圧巻の演技。
素人が見てもかなり高度な動きだとわかります。
見応えがありました。
続いて『鷺娘 2005年(平成17年)5月 歌舞伎座にて上演』
白無垢姿の娘が降りしきる雪の中に佇んでいる。
それは恋に悩む白鷺の精の化身でした。
赤い唇と赤い足袋、そして蛇の目傘で、
艶めかしく、儚く、美しく、
一途な恋心と、この世の者ならぬ姿をこちらに想像させます。
息遣い、手先、足先、全てが美しく、
着物の早変わりとともに恋心の変遷も表現されます。
そして最後は降りしきる雪の中、叶わぬ恋とともに命の終わりが訪れます。
高度な技術と、数十キロにも及ぶ着物と髷でかなりの体力を要するため、
2009年の上演を最後に全編を踊ることはもうないと明言されているそうで、
そういう貴重な演目を見ることができるのもこの月イチ歌舞伎の醍醐味でもあります。
ムービックス清水では7月4日までの上演、
できるならもう一回見たいくらいの素晴らしい玉三郎さんの演技でした。
【ほし太の日向ぼっこ】