長いお別れ 中島京子著 文藝春秋
今年みた映画の中でもかなり心に残っている「長いお別れ」。
その原作が中島京子さんだと知り読んでみました。
普通原作を読んでから映画をみると、
自分が想像し、思い描いていたものと違ってがっかりしますが、
今回は逆だったのでそれは大丈夫でした。
映画では、三姉妹を二人の姉妹としていたり、
孫も二人ではなく一人にして、
よりエピソードを浮き上がらせていたことがわかりました。
脚本もよかったと思います。
また、原作中の印象的な言葉や出来事はそのままで、
妻の曜子や長女の茉莉、妹の芙美のキャラクターを、
映画の方がより魅力的に描かれていたように感じました。
原作はかなり現実的で、介護サービスや病院の実態、ケアマネージャーとの連携など、
映画よりも介護の大変さがきちんと描かれていて身につまされました。
映画を鑑賞したときもそうでしたが、
現在認知症を患っている義母に、この父昇平の姿がとても重なり、
私たちは、こんな風に最後まで義母をちゃんと見送れるだろうかと、
覚悟を迫られたような気持ちにもなりました。